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27卑怯なる王
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先の戦
「白竜として命じる!黄帝を討ち取り我らの王政を復活させる!」
「応!」
突如謀反を起こした白竜
「父上」
鎧に身を包み
天狗を連れた白が膝をつく
「皆が揃いました。いつでも出陣できます」
「分かった。白。お前は私の側から離れるな次期白竜としてお前だけは生き延びよ。天狗!白を絶対に守れ!」
「はっ!命に代えましても!」
「………」
「白様。いかがなさいました?」
俯いたままの白に天狗が話しかける
「俺も皆のように戦いたいです」
普段は先陣を切って突っ込んで行ったのに
「王たるもの皆の前を駆けよと教えたのは父上なのに」
「白様、今度の戦はいつもと違います。それに嫌な臭いも…危ないっ!」
白竜を抱え避難する天狗
どおんっ
今までいた場所に爆音が響き
あっという間に燃え盛る
「今のは…」
「ぎゃああああああっ!」
びくっ
白の目の前で火柱を上げ燃え尽きていく仲間
「ああ…」
先程まで一緒に居た仲間の死
戦ではよくあることではあるが
悲しみと友ではない相手に安堵してしまう
「黒や翠は無事であろうか?」
燃え尽きた仲間に手を合わせ
白は呟く
「お二方は勇猛なる戦士です。きっとご無事です」
天狗が主を慰める
しかし冷酷な主の父が主の友に命じた事は黙っていた
「きっとご無事です」
「白様!ここにおいででしたか!」
黒の父が負傷した青を陣営に運び込む
「青殿…」
体の半分を焼かれ
苦しげに息を吐く
「翠は?翠は居ないのですか?」
黒の父親に尋ねるも
黒の父親は厳しい眼差しを向ける
「私の息子は気がかりでは御座いませぬか」
吐き捨てるように言い放ち
去っていった
「違う…」
「白竜。あの火器のせいで半数以上が死んだ」
ヒューヒューと息を吐きながら何かを呟く
「どうした?」
「楽にして欲しいといっているやも知れん」
「すい…りょく…」
息子の名を呼ぶ青に
ずんっ
「がっ!」
喉に短刀を突き立てられた
「あのような穢れの名を白竜の前で出すな!たわけ!」
「もう嫌だ…」
仲間の死体が放置され
耳に入るは窮地に追いやられた者達の援軍の要請
「何故父上はこの様に負け戦を仕掛けられたのか」
胸を押さえ呻く
「白様。今先見に行って参りました。戦況は大いに不利。黒様はもうすぐ戻って参りますが、前線を任された翠様が所属していた部隊は全滅…翠様は行方が知れません」
「翠が…」
その場に座り込む
「翠…」
涙を落とし
踞る白に
「白様!しっかりなさいませ!」
天狗が助け起こす
「あなたは次期白竜となるもの!どうすべきか!お分かりでしょう!」
「天狗…」
天狗が笑いかける
「あなたが御命じくだされば私は竜馬よりも速く駆け、虎より獰猛に敵を仕留めて見せましょう!」
「天狗…」
天狗の笑顔に勇気を貰う
「俺は…覚悟を決めます」
「白竜、青も居なくなった」
「構わん!かような穢れを持ち込んだ者など!それより白だ!白を守れ!例えこの命が尽きようと次代の白竜がこの戦を必ずや勝利に導こう!」
鬼のような形相に
黒の父親は一瞬怯むも
「そ…そうだな…白様!」
髪をほどき
逆鱗を光らせた白
「白。どうした?」
「父上。民が多く死んでおります」
「戦故に仕方あるまい」
「民無くして何の戦でしょうか?」
不穏な空気に黒の父親が剣を抜くも
ざしゅっ
「があっ!」
切り捨てる
「白!血迷ったか!」
「新しい王に従うのは臣下の役目そして…古き王を打ち払い、民を守るも新しき王の役目!」
剣を向ける白に
「良かろう。かかってこい!隻腕と言えどひよっこには負けぬ!」
「隻腕とはいえ父は勇猛なる戦上手。あの方が油断して…更に天狗の手助けが無ければ私は父を倒せませんでした」
「あやつは卑怯にも天狗の手を借りて私を卑怯討ちしおった!」
隻腕の竜が恨みの炎を宿す
「奴はなにも分かっておらぬ!そもそも私が謀反を起こしたのは天啓があってこそ!民の命なぞ些末なものだ!奴はあの穢れの為に我が身を滅ぼした!奴は…ぎゅううっ!」
「黙れ。余計な口を訊くことは許さない」
蓮は竜を袖に戻す
「僕の竜を悪し様に言うことは許さない!」
激昂するも紅の視線に我に返る
「お見苦しい所をおみせしました」
「構わない。私もその竜に腹が立っていた」
「白竜様をまだお慕いしていらっしゃるのですか?」
「ああ。私と違ってあの男は気高く美しい」
「あの方はあなたが思っているほど高潔ではありません」
「白竜の代替わりは殺してしまっても良いのですが、先代を一人で倒さねば成り立ちません」
左腕のみとはいえ
父親は強く
形成不利の白に
「勝手ながら手助けします!」
本来の姿となった天狗が白竜の足に食らいつき
「御免!」
ざしゅっ
白竜の首を跳ねた
「卑怯な手で父を討ち取った私を皆は許してくれませんでした」
「所詮は保身のためか!」
「恥を知れ!」
白竜を名乗ることも許されず
逆に責められた
「ああ…あの時と同じだ…」
「白竜の息子がなんという情けなさよ…」
臆病な性格を詰られ
「悔しいならその力を示せ!」
そして力を見せつけた
「我らに卑怯な王など要らぬ」
「我らは皆真の王に殉じる」
「一人で孤独なまま死んでいけ」
守ろうとしたもの達からの冷たい言葉に
「その場に居た全員を斬り捨てました」
「……………」
楊は白竜をただ見つめ
黄帝は震える
「黒も翠もあの王には殉じさせたくない」
悲鳴を上げ逃げ惑う側近の最後の一人も斬る
「白様。もうすぐ黒様が戻ってこられます」
「はい。この者達もあそこへ」
父親を布にくるみ
友の帰還を待ち
行方が知れなかった翠も弟を連れ無事に帰ってきた
「本当は父を卑怯討ちにしたことを告白するつもりでしたが、結局言えずに恥知らずにも白竜を名乗りました」
白竜は衣服を身に付ける
「この話を知っているのは私達とあなた方しか知りません。決して他言しないで下さい」
頭を下げる
「あなたは美しい」
楊が白竜の腕を引く
「俺は薄汚い罪人です」
背を向けた白竜の顔は見えない
「いいえ。あなたは薄汚れた罪人ではない。罪人を処罰したに過ぎません。でしょう?陛下」
「あ…ああ…」
黄帝は白竜の顔を見る
「白竜よ。今一度聞く。お前の父、先代白竜が謀反を起こした件について何か聞いておらぬか?」
白竜は首を振り
「父は老いてしまったのでしょう」
悲しげに呟いた
「益々あなたが欲しくなりました」
気高くも醜き王よ
「蓮様。今日は面白い話をありがとう」
「いいえ。それよりこれからどうなさいますか?」
「何が?」
「白竜様…いえ、あの罪人」
「どうもしない。私や彼等にとっても白竜はあやつだけだ。高潔でありながら臆病者で、間の抜けた、お人好しのあの男だけだ」
紅は笑い
「あの男が益々気に入った」
去っていった
「僕は許さない」
僕の愛した人が僕のために涙を流すのを見たくなくて僕から遠ざけた
「あの卑怯者を許さない!」
「ただいま戻りました」
「お帰りなさいませ。お疲れのご様子ですね」
「はい。先の戦での事で陛下より再度尋ねられました」
「では…」
「はい。いずれ知られます。俺は浅ましい罪人です」
あの後父親の亡骸を泣きながら食べた
「父の血肉で気力を取り戻し、黒や翠、緑を助けることができた。卑怯者らしい汚いやり方で」
「いいえ。卑怯なのはあの方です。隻腕でも十分に勝てたのに複数で斬りかった」
老いた父は息子の成長を恐れた
それは側近も気付いていた
「新しき王に従うのが古き王や民の役割なのに…」
怒りに震える天狗に
「死者を冒涜するのは許さん!現に俺は死にたくない一心でお前の名を呼んだ」
「白竜様…」
「そのお陰で私は君と言う竜を手に入れた。他の者たちもだ。4人も残った。天狗を入れたら5人か。君の功績だ。先代は一人残らず見殺しにしたであろう」
「紅!」
「あの嘘つきめ!自分が先に卑怯な手を使ったではないか!」
一人呟き
白竜の腕を引く
「また部屋を覗かないように!」
「あっ!はい!なにかございましたら遠慮なくお申し付けください」
白竜の部屋に着くと
「紅!」
白竜が紅を抱き締める
「あなたに会いたいと思っていました!」
「苦しい!君は手加減…うん?」
不意に香る匂い
「この香りはあいつか!」
着物を捲り上げ
内股のキスマークを見つける
「楊の奴!」
「違います!これは陛下のご寵愛を受けて…主命には逆らえません」
「あの豚め!」
奥歯を噛み締める
「すみません…俺が不甲斐ないばかりに」
「君が気に病む事ではない」
「俺は嫌でした」
両目から涙が溢れる
「あなたの名前ばかり呼びました」
巫子である楊が相手であっても嫌だった
「すみません…もう俺には触れたくも無いでしょう」
着物を直すが
「いや。君は美しい。私の方が汚れている」
首筋に唇を落とすと
びくりと震える
「こう…」
「君の全てがいとおしい」
柔らかく解れたアヌスに指を入れる
「ああ…」
唇を震わせ喘ぐ白竜に
紅が覆い被さる
「またここに私を覚えさせる」
「はい…ああっ!」
急に入ってきたペニスに思わず声を上げる
「はう…」
「はは、きゅうきゅうに締め付けた」
紅が笑いながら腰を進める
「あああっ!紅!激し…」
ずちゅっ
ぐちゅっ
「あんんっ!」
腰を揺らし嬌声を上げる
「はあっ!白」
「こうっ!紅!愛してる!愛してる!」
紅にすがり付き
涙を流す
「もう紅以外に抱かれたくない」
「だったらそうならないようにしよう」
あの男を今こそ倒すのだ
現代の日本
「白竜様は?」
「たぎる気を収める為に巫子様に抱かれておられます」
「またか」
眉をしかめる男
「あの方は未だに巫子が居ないと駄目なのか」
「全てを失ったあの方が生きておられるのも巫子のお陰です」
見張りをしていた男が顔を押さえる
顔の半分と手に残る火傷の後
「私も友を失いながら生きているのはあの方のお陰です」
「あはあっ!ああっ!」
ずちゅっ
ずちゅっ
巫子に組み敷かれペニスを受け入れる
「あううっ!」
「愛しい私の竜」
巫子が口付けすると
白竜は背中にすがり付き
「……」
名前を呼ぶ
「…っ!白」
巫子は白竜の名を呼び
体内に精液を放つ
「はぁ…は…愛してる。ずっと…」
「私も愛してる」
嘘つきめ
あなたは一度も私の名前を呼んだことが無いじゃないか
しかし
「あなたが居ないと俺は駄目なんです」
そんな風にすがられると赦してしまう
「この卑怯者!」
続く
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