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兄と弟
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すぐに3人が家を出ていった。後にはおそ松、トド松、一松だけが残った。
「…トッティ、酒あったっけ?」
おそ松の笑みにトド松が笑顔を返す。
「…なるほど…」
おそ松が言いたい事が痛いほど伝わった。そしてそれは自分の考える事と何ら変わりなかった。
「冷蔵庫にビールが少しと、戸棚に父さんが隠してるウイスキーがあるよ?」
「…いいねぇ…」
にやにやと口元を歪めるおそ松を見てトド松がアハハ、と声を上げて台所から言ったとおりの物を持って来る。
「…?何すんの?酒なんて持って来て…」
一松だけが今の状況を理解していないらしく、少し表情が不安げに曇る。
「…一松兄さんもお酒飲むでしょ?」
「…い、いや俺は…」
首を振る一松にふーん、と言いながらトド松が台所から瓶と缶ビール、そしてグラスを持って来て居間の真ん中の机に置いた。
一松の腕の中の猫が不安げに鳴いて一松を見つめる。安心させるように頭を撫でながらおそ松とトド松がやろうとしている事を見ていた。
「お、用意いいね」
「…まあね」
トド松が氷の大量に入ったボウルを机に置く。おそ松が
時計をちらりと見やると5時30分を指していた。
グラスに早速ウイスキーを3分の1程注いで氷を入れる。
「「乾杯!!」」
カチン、と2人のグラスが高い音を立てた。中の氷がカラン、と回る。一口飲んだおそ松が目を丸くした。
「うっわー、きついなぁこれ」
「チョロ松兄さんなら一口で酔うかも」
同じようにグラスを傾けてトド松が頷く。おそ松がうんうん、と同意する。
「カラ松だったら死んでるわ」
「確かに」
2人が笑うのを一松が見つめる。気付いたおそ松が声をかけた。
「一松、お前はいいの?」
「…俺は…苦手だから…いい」
首を振って断る一松に「本当に?」とおそ松が詰め寄った。
「本当は飲めるんじゃない?」
「いいよ。俺はいらない」
トド松がそれを聞いてそっぽを向く。
中々オチナイなぁ、一松兄さんは。
「キャラ作りだもん。仕方ないよね」
「はぁ?何言って…」
「じゃあ飲めるでしょ!?」
今にもケンカしそうな雰囲気を醸し出す2人の間に入るようにおそ松が声を上げる。
一松に今逃げられては意味がない。
「ほら、いいだろもう、これで。楽しく飲もうぜ」
「はーい」
「……」
ふいっと一松が顔を背ける。そして今頃気づく。猫はいつの間にか自分の腕から逃げ出していなくなっている事に。
少し居づらくて一松はおそ松達から離れた場所に座る。
ふう、とおそ松が息を吐いた。
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