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酔狂の中に隠した欲望
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「…なんで?…それってどういう事?」
一松がおそ松に目を向ける。
「いや、いつも1人でいるじゃん?もしかして俺らの事嫌いなのかなって」
おそ松の顔が少し酔って来たためか赤らんでいる。
お互いに何を言えばいいのか掴みあぐねている一松とおそ松を傍目で見ながら、トド松がグラスを回す。
…何この茶番。
グラスの中の氷が滑稽な音を立てて溶け、形を崩していく。それをじっと見つめてふう、とため息を零した。
「…いや…嫌いじゃ…ないよ」
一松が重くのしかかった空気を退けるように呟く。
兄弟。今までずっと一緒だった。
そんなもの、嫌いになる訳がない。
一松は拙いながらも伝えようとする。酒のきつい匂いが一松の鼻をくすぐった。
それだけでくらくらする。思考がまとまらない。
「…嫌う…理由がないよ」
「…ッ」
おそ松が「…そっか」と呟いた。無理矢理誤魔化すために顔を歪める。
「…なら良いんだけど」
本当はそういう意味じゃない。
兄弟じゃだめなのに。
その言葉ごと飲み込むためにグラスの中の酒を呷った。
「…僕は、一松兄さんが嫌いだった」
「…あ?」
トド松の言葉に一松が目を向ける。
「嫌いだけど、好き、みたいな」
「…なんだそれ」
一松が意味が分からない、というように返してふっ、と笑った。トド松がグラスを回す。
そんな一松兄さんの鈍い所が嫌いだよ。
でもそんな一松兄さんが僕のモノになる瞬間をずっと夢見て。
トド松の手の熱さで溶けていく氷がカラン、と音を立てる。
この熱さで一松兄さんすらもドロドロに溶かしてしまいたいよ。
何も知らないカワイソウな兄さんが
これ以上ないくらい愛おしい。
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