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からかいが優しさに変わる
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頭もシャーペンの動きも悪いままテストを終える。
テストを終えると近くにいた木村が笑う。
「なーにやってんだよ。」
少し気落ちしたボクの背を叩いてそう述べる。
からかいにきたんだろうけど、今はそんなからかい聞きたくない。
「ちょっ、ばっ、おまっ、悪かったって、そんなつもりはないんだって。」
目がうるうると潤むのが分かった。
視界がぼんやりと歪むからきっとボクは泣いている。
慌てた声が聞こえて、手がボクの顔に伸ばされてきゅっお目元を擦る。
「まず、先生に謝りに行こうぜ。遅刻なんて大したことじゃねぇよ。」
ぽんと頭を撫でる。
そして、手を引いて職員室まで向かって。
なんだよ、こいつ、こんな奴だったっけ??
背中を押されて職員室に足を踏み入れる。
受けられなかった教科をどうするべきか各科の先生に問いかければ、先生にしこたま怒られた。
髪が長いことで怒られたことはあったけどこんなことで怒られるのは初めてだ。
髪が長いことに関しては勝手じゃないか、なんてたかを括っていたけど、コレだけはそんな振る舞いなんて出来やしなくてしゅんってする。
結果、課題で免除になって、受けられなかった教科は校則に則って30点はくれるみたい。
いつも赤点じゃないから補講は免除って言われてそれだけは嬉しかった。
なんとか終えて職員室を出れば廊下には木村が待っていた。
「待たなくてよかったのに……」
そう言ったけれどなんだろう、本当は嬉しかった。
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