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翌朝、横浜のホテルで、浅黄が目を覚ますと、要の姿はどこにもなかった。
ベッドから出ると、テーブルの上にお金とメモを見つけた。
悪いけど、一緒に帰れない。
道に迷わないよう、タクシーで帰るといい。
要
浅黄はその中からホテルの支払いをしようとしたが、
「ご精算はお済みでございます」と言われた。
多すぎるタクシー代を見ながら、要はやはり、自分を男娼だと誤解していると思った。
でも、昨日のことを考えると、自分でさえ、それを否定する自信がなかった。
その横浜へのドライブから三日もしないうちに、
浅黄は要から電話をもらった。
そしてそれから三日もしないうちに呼び出され、
それから二人は次の約束をしてから別れるようになった。
「明日はスーツで来てほしい。
仲間内でちょっとしたパーティをやるんだ」
「パーティ?そういうのは苦手だな」
「大丈夫。君のような若い子もたくさん来るから」
浅黄は、要の自分への扱い方に、不快感を感じたが、口には出さなかった。
パーティには6人の仲間たちが集まり、皆、若い「友人」を連れていた。
男たちは、酒とつまみを囲みながら、好き勝手な話をしていた。
若い友人たちは、途中同意を求められれば相槌を打つ程度で、
ほとんど口を利かなかった。
「この間は、旅行に行ってるはずの妻が急に帰ってきて慌てたよ。
こいつは、慌ててベッドの下にもぐったんだ」
「うちのは、僕が女に興味がないことを承知で結婚したくせに、
抱くのは夫の義務だってうるさいんだ。参ったよ」
「どうした、要。今日は静かじゃないか」
「別に。みんな大変なんだなって聞いてただけだよ」
「要のところはいいよな。奥さん、ニュー・ヨークへ行ったきりなんだろ。
のびのびできるじゃないか」
「まあね」
「うちは、見て見ぬふりをしてるさ。もう、あきらめたんだな。
なあ、彰人」
彰人と呼ばれた若者は、何度も浅黄に視線を投げていた。
ただ見ているのではなく、頭の上から足の先まで、値踏みするかのようだった。
「今日は久々に、パートナーチェンジをしないか」
その彰人の連れが言った。
「僕は抜かしてくれ」要が言った。
「実は、今日、どうしても相手が見つからなくて、ノンケの知り合いに来てもらってるんだ」
「それじゃあ、この間、彰人と一緒に行く予定だったオペラをすっぽかしたときは、
彼と一緒だったわけじゃないんだね」
浅黄は思わず、要の顔を見た。
要は平然としてシャンパンを飲んでいた。
浅黄は出たくもないパーティに参加して、知りたくもないことを耳に入れ、
吸いたくもない煙草に火をつけた。
気分は最低だった。
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