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要が浅黄の家を直接訪れたのは、朝から雨がしとしと降っていた午後のことだった。
ちょうど、浅黄は綾倉氏に会いに出るところだった。
彼はそうは言わなかったが、スーツ姿の彼を見て、要はすぐにわかった。
「おじさんなんて放っておいて、私と遊ぼう。
今日は君のために特別に用意したことがあるんだ」
「俺にはそんなことできないって、あなたは知ってるでしょ」
浅黄はネクタイを結びながら、鏡に映る要に応えた。
「そんなこと知らないよ。
そうだな。おじさんは君を抱いて好き放題させてくれるけど、
私はただ、君を愛するだけだもんな。
君にはおじさんを断ることなんてできないだろうな」
浅黄はネクタイを結ぶ手を止め、要を振り返った。
「あなたにはかなわない」
浅黄はネクタイを投げ捨てると、要に背を向けて電話をかけた。
きちんとアイロンがかけられた白いシャツの背中は、
あまりに無防備で、要は急に恐ろしくなった。
彼は、おじが時より見せる残酷さをよく知っていた。
もし、浅黄ごときが、彼に背いたらどんな目にあうだろうか。
「どうするつもり?」
「まさか、こっちから断りの電話をするわけにはいかないから、
代わりを行かせるよ。
ちょっと急だけど、こういうことは、もともと俺の仕事だから何とかなる」
「どうかしてるよ」
「あなたが言い出したのに」
要が特別に用意したというのは、浅黄の絵を描くことだった。
二人が初めて会った家のアトリエで、要は浅黄の顔や体を、
いろいろな方向からスケッチした。
「作品が完成したら、1番に君に見せよう」
要はそう約束して、翌朝、二人は別れた。
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