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「っ……! 寺島…――」
アイツは鞄を拾うとキョトンとした顔で不思議そうに見てきた。よりによってコイツに会うとは。軽く舌打ちをしてチベットスナギツネの目で寺島をジーッと見た。
「どうしたんですか潮海課長? こんな所に一人で暗い顔して悩んで? どうかされましたか?」
――やかましいオカズ予備軍の分際で!
お前が俺の未来の『恋人』だと? あの占い師のババアめ、よくもよりによって寺島なんか。
可愛い顔しても無駄だ。お前なんか俺の妄想の中では、既に汚れたエンジェルになってるんだからな!
妄想の中で抱かれまくって、アソコなんかもう汚れきったガバ◯ンエンジェルの癖に…――!!
「うるさいほっといてくれ、気分が悪いんだ! 俺に構うな!」
「潮海課長……!?」
思わず苛立つと、アイツから鞄を奪い取った。すると鞄の中から本が落ちた。
――しっ、しまった……!! 本が……!!
「あれ? 課長、何か落ちましたよ?」
寺島は落ちた本を拾おうとした。よりによって鞄からBL漫画が落ちた。その瞬間、しまったと心の中で叫ぶと咄嗟にアイツを床に押し倒した。
『寺島っつ!!』
『わっ……!?』
慌てると事もあろうか、俺は寺島を床の上に押し倒した。そして、アイツの上に体を重ねると両手を押しつけて見つめ合った。
「しっ、潮海課長…――!」
華奢な体の寺島を床に押し倒したまま目と目が合うと、俺のビジョンにはアイツがいきなり可愛いく見えてきた。
まさに漫画で例えたら男女の恋愛漫画で、いきなりどこからともかく薔薇の花びら舞い散るような乙女展開の場面だった。
なんてこったパンナコッタ。あまりの衝撃に暫しジッと見つめあった。俺はどうかしている。既に直腸も汚れきってるような寺島がクソ可愛く見えるなんて。
「あの…潮海課長…――?」
「ッ――!」
ハッと我に返るとそこから直ぐに立ち上がり、無言で傍を離れると落ちた本を拾って足早に立ち去った。
俺はどうかしている!
オカズ予備軍の寺島を一瞬でも、クソ可愛いと思ったなんて!
きっとこれは何かの誤差動に違いない…――!
「――くそっ、寺島なんて……!!」
無我夢中で廊下を走ると、人気が無いところで立ち止まり後ろを振り返って息をきらした。よりによってあんな奴。あんな受け子なんか、俺の、俺の…――!
鞄から本を出すと不意に手に取った。幸い落ちた本には赤いブックカバーが掛けられていた。
ああ、良かったアイツに見られなくて。一人でも気づかれたおしまいだ。本当に気をつけないと。
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