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「…ねぇ。舐めていい?」
「…え?な、に?」
唐突にそう言われてびっくりした。
「だーかーらー…舐めていい?」
何処をなんて聞かなくても彼のことならなんとなくわかる。
「やだよ。」
顔をじっと見つめて言った。
彼の目の中に僕自身が写ってるのがわかる。
目を見つめていると彼の考えてることがなんとなくだが伝わってくる。
流石に恥ずかしくなって顔を背けた。
だが、彼の視線は僕の方を向いている。
「なんで?なんでダメなの?」
「ダメっていうか…無理だよ。」
普通なら引かれてるはずだよ。
なんて心の中で言った。
「お願い。」
「やだ。」
今日はいつもよりしつこい。
少し強めに言ったら
「じゃあ、その目頂戴。」
なんて言われた。
「…は?な、何言ってるんだよ。」
「だって…欲しいんだもん。別にいいだろ?」
「…え?そんなの…無理に決まってるだろ?!」
「無理じゃないよ?僕が綺麗にとってあげるから。」
綺麗にとるってなんだよ!
確かに医者の息子だけど医者じゃないだろ!
なんて思ってても彼には伝わらない。
「…や、やめろ…よ…。こっち来んなよ!」
流石に怖くなって後ずさりした。
彼は俯きながら
「大丈夫だよ。これでも医者の息子だよ?」
といった。だから医者じゃないだろ!
「…お前…可笑しいよ!」
「可笑しい?可笑しくないよ。欲しいものを手に入れたいだけだよ。」
今日の彼はやっぱり可笑しい。
「だからって人のものを奪うのかよ!」
「大丈夫。目がなくなっても君のこと好きだから。」
「…大丈夫…じゃ、ない!」
目がなくなっても…愛してるなんて。
…君が愛してるのは眼球だろ?
「大体、そういうことじゃないだろ!目がなくなってもとか、そういうことじゃない!」
「…じゃあ、何?あ、もしかして…日常生活ができないから嫌がってるの?」
「それ以前の問題だろ!」
「それ以前…?日常生活以外に何か理由があるの?」
僕の言葉が彼には伝わらない。
もう考えるのが嫌になってきた。
ふと気がつくと僕は泣いていた。
身体も震えていた。
僕は泣きながら彼に
「お願いだからやめて?」
と言った。
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