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人形劇
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【代理ミュンヒハウゼン症候群】
君が好きだ。
大好きだ。それだけはわかって欲しい。
嫌いじゃないんだ。
大好きだけどつい、傷つけてしまうんだ。
かまって欲しいんだよ。
僕がそばにいても君はこっちを見てくれない。
君は僕の一番の親友で、僕を一番わかってる。
僕も君の一番の親友で、君を一番わかってる。
君が倒れた時看病したよね。
「ありがとう」
って言ってたけどそれは当然なんだよ。
だって親友だもんね。
周りの人は可哀想っていうけどそんなことないよね。
だって僕がいるから。
僕がそばにいるから。
それを見たひとは口々に僕のことを
「いい子だ」
「偉いね」
なんて言う。
当然だよ。君の親友だから。
君が退院した日、退院祝いで行ったレストランで食中毒になったっけ?
災難だったね…。
僕だけ別のメニューを頼んでたから入院しなくて済んだけど両親はその食中毒で亡くなった。
幸い君はほとんど食べていなかったから助かったって医者が言っていた。
退院してすぐだからそんなに食欲なかったんだよね。
入院中両親のことがショックで、何も食べられなくなっていった君が、日を追うごとにやせ細っていくのを見るのは辛かったよ。
退院したら今度は両親の相続が大変だった。
借金が1千万ほどあった時はビックリしたよ。
何時そんな借金をしたんだろうか。
結局君は財産放棄したよね。
それで家も何もかも失った。
でもとても楽しかった。
親友の君と過ごす時間はどんな時間よりも楽しかった。
けど、君はもういない。
数日前事故に遭った。
酔っていたトラックの運転手に跳ねられた。
即死だった。
泣いて泣いて泣いて泣いて泣いた。
一晩中泣き続けて朝になった。
それでも涙は枯れ果てることは無かった。
君の遺体が火葬されていくのを見てまた泣いてしまった。
君はこんな時どうしたんだろうか。
君ならどうしたんだろうか。
僕にはわからない。
わからない。
死んだ人の事はわからない。
僕は君のお墓の前で泣かない。
いや、泣けなかった。
だって君はいないから。
花束を置いた。
さぁ、次はどこに行こうか。
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