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人形の君9
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「退院おめでとう。」
「おう!ありがとな!あ、そういえば俺の母さんが退院祝いで晩御飯なんか予約が取りづらい店だっけか?そこを予約したらしいぞ。お前も、もちろんくるよな?」
「行っていいの?」
「当たり前だろ。だって家族なんだから。」
家族……か。
家族だよね。
「……そうだね。」
僕には似合わないような高級なホテルに連れていかれた。
ドレスコードがあるようなホテルだ。
コース料理で次々と見たことがない食事が出てきた。
緊張で味をあまり覚えていない。
それでもその時間はとても楽しかった。
と同時に心は冷えていく。
病院でのことを思い出した。
彼女と笑う君が脳裏に焼き付いていた。
僕はここにいていい人じゃないけど。
ここに居るべきじゃないけど。
君のことを一番心配しているのは僕だ。
嫉妬だろうか。
独占欲だろうか。
この気持ちがいまいち理解出来ない。
そしてそれは遅効性の「毒」のように…ゆっくりゆっくり
侵食していった。
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