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あの金曜日の夜 2
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あの夜、瑞樹との距離は近かった。
ここまでならという俺たちを分かつ線が、消えてなくなっていた。国境線の消えた瑞樹に近づく。
「瑞樹、寝ちゃった?瑞樹?」
そっと頬をなでると表情が緩んで、幼い顔になる。
「ん?だれ・・・?ん。気持ち良い・・・。」
そのままゆっくりと瑞樹の着ていたシャツに手をかける。手をすべらせるようにシャツを捲り上げると、張りのある肌が露になる。
大人しくされるがままの瑞樹を見て、心音が速くなる。何度も口付けを落とすと、瑞樹はくすぐったそうに身を捩る。丁寧に口づけながら、身につけていたものを全部剥ぎ取った。
窓から少しだけ漏れてくる街の明かりの中で、白い肌が誘っている。いつの間にか俺の方が背が高くなった。いつの間にか瑞樹の肩幅より俺肩の方が広くなった。そして、いつの間にか俺たちの間にあったものは形を変えてしまった。
自分の着ていた服を脱ぎ捨てると、瑞樹の肌と重ねた。触れ合ったその皮膚から、感情が伝わって心臓に達するように。このまま溶けてつながってしまうように。
「瑞樹、好き・・・もう、どうしようもないくらい好き。」
唇を重ねようとしたその時に、瑞樹が小声で言った一言に心臓を射抜かれた。
「だいじょーぶ、ちゃんとね。結婚するから。だいじょう・・・。」
体が硬直する。そして、次に全ての力が抜けた。結婚?瑞樹が・・・。そうか、結婚するのか。いつ?誰と?
「瑞樹、瑞樹・・・。ねえ、結婚するの。」
「・・・ん?・・・んー。」
来週末はその彼女(ヒト)に会いにいくのだろうか。日曜日には用事があると言っていた。
「そっか、結婚するのか。」
好きな人って・・・。会社の人じゃない。誰も知らなかったのはそういう訳。変に俺が勘ぐった大野さんでもないはず。絶対に大野さんのベクトルは瑞樹には向いていない。
酔ってすっかり眠ってしまった瑞樹の側にそっと横になる。ああ、瑞樹の匂いがする。このまま眠ってしまいたい。
明日の朝、冷静な瑞樹に結婚するからときちんと告げられて、それを黙って受け入れる心の準備はまだできていない。この状況だって説明できない。
今のうちに帰ろう。瑞樹を起こさないようにと、そっとベッドから抜け出す。ギシと、小さな音をベッドが立てた。
その音に瑞樹がごそっと身体を起こす気配が後ろでした。
「あ、起こした?悪い。明日は会社だから帰るわ。お邪魔しました。」
慌ててベッドから抜け出す。
「嘘だろ・・・。」
瑞樹の声を聞こえないふりでやり過ごす。別に何かあったわけじゃないけど。それを弁明するのも嫌だ。友達とお互い裸でベッドの中ってどうなのと思う。
「ん?何?また来るわ。今度の金曜の夜何か約束ある?」
「いや、金曜日はないけど・・・。」
「じゃ金曜日ね。大丈夫、金曜日の夜のうちに帰るから。さっき、週末は用事があるって言ってたよね。」
そう言うと、「ああ。」と瑞樹が返事をした。
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