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許嫁
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結菜に連れられて雛は、ベランダに来ていた。白い手すりに腕を置き、都会の風景を眺める。微かに吹く風が心地よい。
「ごめんね。驚いたよね?」
「だ、大丈夫…」
「くすくす、今は2人きりだから、いつも通り話しても大丈夫だよ?」
「えっ…?」
「あれ?違った?雛だよね?」
「気づいておったのか…」
その言葉に安心した様な顔をする結菜。
「雛の事なら分かるよ。いつも近くにいるからね」
「そうじゃな…。所で良かったのか?あやつとの話を破棄して…」
「あーいいのいいの!先代からの話だからって何で私があいつなんかと結婚しなきゃなんないのよ!ぜーったい嫌よ。だから、雛が気にすることないよ?結局破談させる気だったから!」
結菜がニコニコと微笑んでくる。その表情が作られたものじゃない事が直ぐに分かり雛は安堵する。
「それに…父さんも母さんも考えが古いのよ。今時政略結婚とか…。ほら、私この前迄Eクラスだったじゃん?それで、千葉家の娘なのに出来が悪い子だって周りから後ろ指指されててね…嫌な思いをしてたみたい。だから、Aクラスに昇級した今、必死なのよ父さんと母さん。2人を楽にさせたい気持ちはあるけど、一生に一度の結婚位私に選ぶ権利があってもいいじゃないって思っちゃって…」
ははって笑う結菜の目からは一筋の涙が溢れていた。そんな結菜の頭を雛が撫でる。
「よぉ頑張ったの…1番辛かったのは結菜じゃろうが…無理せんでもよい。お主は立派な子じゃ。立派な1人の女の子の千葉 結菜じゃよ」
あやしてあげると、結菜の瞳から大粒の涙が次々と溢れ出してきた。そんな結菜を胸に抱きしめ背中をぽんぽんとしてあげる。
「ありがと、雛。大分落ち着いたよ」
暫くするとすっきりとした結菜がいた。
「わしは、何もしとらん。全部お主の頑張りじゃ」
「それでも、ありがと。雛の言葉が私を救ってくれたんだから…私っもっともっと強くなる!父さんや母さんを支えれる様に強くなる!大好きな人たちに恩返しができる様に強くなる!だから!見守ってて…?私の成長を近くで雛には見てもらいたい…。これからも、仲良くしてほしい。ダメ…かな?」
伺うように見てくる結菜。対して雛は、にこりと微笑むと大きく頷いた。
「約束しよう。わしは、お主の生き様を見届ける。それが年長者の役目じゃろう?」
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