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21話目
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アブsaid
会社の人間関係に疲れた俺は退職して、以前から趣味だった写真を仕事にすることにした。流石のアブさんでも疲れる事はあるの!
まあ、カメラマン業はそう簡単に上手くいかず、俺はしょうがなく心霊カメラマンとして働いていた。
心霊カメラマンと言っても本当の幽霊達を取るわけじゃなくて、様々なトリックを使った心霊現象を撮影してそれを売り、そのお金でなんとか生活をしていた……
もちろん本物の幽霊を取りにいく事もあるが、簡単に取れるのであればこんなインチキ心霊写真を撮らなくても済む話なんだよね。
今日の撮影場所は長崎県長崎市の平和公園の平和記念像周辺。この周辺で写真を取ると心霊写真が取れると聞いて、俺はその噂を確かめにここ長崎県を訪れた。
記念像の前に立つと季節が夏なのに一瞬、冷たい空気が流れたような気がした。
俺は気にせず手持ちのフィルム2本分を全て撮りつくした。
ただ、あの冷たい空気は死者達の最後の警告だったかもしれない……
現像があがる日、どんな心霊写真が撮れているかワクワクしながら写真屋に向かった。店内に入って無愛想な店員から写真を受け取り、俺はすぐさま近くの喫茶店に入る。
コーヒーを頼み煙草を咥えながら現像した写真を一枚ずつ確認した。だが……俺の満足するような心霊写真と呼べるものは一枚も入っていなかった。
フィルム2本分の損害は駆け出しカメラマンとしては痛い出費だ。俺は不機嫌ながらも会計を済まして店をあとにした。
あれから一ヶ月後、友人が青ざめた顔で俺にとある封筒を渡してきた。
友人曰く、二週間前に一緒に日帰り旅行に行った海の記念写真らしい。顔色が悪そうな友人に「大丈夫か?」と聞いても友人はひたすら「今すぐ見てくれ」としか言わなかった。俺はしょうがなく封筒を開け、中にある記念写真を一枚ずつ確認した。俺の表情が大きく変わったのは三枚目からだった。
それは俺が海を背景にカメラに向け笑顔で写っている写真。
私の後ろにはまるで飴にたかっているアリのように無数の霊体達が群がっていた。そして次の写真を見ると……
アブ「うわっ!?」
俺の右腕がない写真があった。
間違いなくあの時に行った記念公園の幽霊達の祟りだと考えた私は急いで知り合いの霊媒師の所に車で向かうことにした。
早く祓わないと俺の身が危険だと感じ、俺は信号を無視して交差点を飛び出した___
気が付いたら病院のベッドの上。自分の体に異変を感じて起き上がると……
そこにあるはずの俺の右腕が無く、右肩には包帯が巻かれていた。
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