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どうもこんにちは。
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「おっと、危ない」
ぬかるんだ地面に足を取られながら進む。もう少しで何処かの国にたどり着くはずだ。
ここ数日ほど野宿だったためか、硬貨はいくらか残っている。何処かの国に入ったらまずは仕事を探そう。一応技師の目印はあるから勝手に仕事は来るかもしれない。
「お客さん、見ない顔だねー。旅人さん?」
「この店で一番安いやつを頼む」
「はーい」
獣の耳が生えた自分より年上らしい男性が店の奥に引っ込んだ。奥から何やら聞こえてきたが聞かなかったことにしよう。
「はーい、どうぞー」
「どうも」
そこそこ繁盛はしているらしい。半端者らしい男性と、半端者に近い店員の二人で切り盛りしているらしい店で食事を済ませ、硬貨を置いて店を出る。
「……国の外にまで出てしまったみたいだな……」
いつの間にか木々に囲まれたところに出てしまった。空は茜色から紫に変わりつつある。また今日も野宿か。仕方ない。
「もし、そこの旅人さん」
「……自分の事か?」
「わぁっ!もしかして技師様ですか!?」
「技師だが……あぁ、すまない。ここらで泊まれるところは無いか」
「でで、で、でしたら是非私達の村にお越しください!」
「……村?」
長い獣耳の生えた少女に案内されたところは、言葉通りの村だった。
「こんな奥地に村があるとはな……」
「マハザ村です!東の国と西の国の間にあって、半端者が作った村だと言われているんです!」
「へぇ……じゃあ、村長とかいるんだ。挨拶しなくちゃね」
「こっちです!」
生えた耳と同じように飛び跳ねていく少女の後を追う。着いた先は周りの家より少しだけ造りの好い家だった。
「そんちょー!旅人さんです!」
「リサ、落ち着きなさい。旅人さん、狭いところですいません」
外見で判断するに、村長である彼女は人間か。
「国から出てから、迷っていたところです。今晩だけでよいので泊めていただけませんか。明日の朝には出て行くので」
「今晩だけなんて……遠慮は無用です。この村は国の境目にあるので、出稼ぎに行く者も多いんですよ」
へぇ……出稼ぎね。
「技師様、技師様!今日は私の家に来てくださいませ!ママもパパも喜びます!」
「いや……」
「そんちょー、いいですか?!」
「リサが連れてきてくれたんだもの、リサ、粗相の無いようにね」
こうして、マハザ村で一夜をすごすことになった。
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