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仕事探し
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「あれ、旅人さん?」
「どーも。安いやつを頼む」
「はぁーい」
店の奥に引っ込む従業員と入れ違いに出てきたのは黒い獣耳を持つ自分と然程変わらないくらいの青年だった。
「あんたが噂の旅人?」
「そうだが。珍しいのか?」
「まぁな。あぁ、後でいいんだけど祝福ってやつをやってくれないか。俺じゃなくってヒスイさんに」
「誰だそいつ」
「此処の店長。さっき奥に入ってった」
「彼に随分入れ込んでいるようだが、兄弟……ではなさそうだな」
運ばれてきた料理を口に運びながら目の前から動こうとしない青年に聞く。
「技師を探している者は知らないか?この国に来てまだ日が浅いから仕事がなかなか見付からないんだ」
「噴水広場の掲示板見てきなよ。此処出てから城の方に向かってったらあるから」
「恩に着る」
「その代わり」
「解ってる。祝福だろ」
他の客の相手をしている店主を盗み見る。柔らかそうな薄い黄色の髪から半円の耳が覗いて、腰には黄色と黒の尾が揺れている。目が悪いのか眼鏡を掛けている。
「ヒスイさんは虎。俺は豹」
「へぇ」
「ヒスイさん、念願の自分の店だからね。俺も拾ってもらった上に働かせてもらってるし……これで祝福しないとか言ったら、解るよな?」
「誰もしないとは言っていないだろうが。それに旅人だが、ちゃんとした祝福はできないぞ。あまりこういった経験がないからな」
「いーよ。祝福してくれるんなら」
ごちそうさん、と硬貨を置く。この後はその噴水広場に向かわなければ。
「待てよ、祝福」
「するが、今とは言ってない。それに今彼は接客中だろう。広場に寄った帰りにまた寄らせてもらう」
「……だったらそう言えよ」
「言葉足らずで悪かったな」
店を出て、言われたとおり城の方にある噴水広場を目指した。
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