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旅人さん
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「すいません……アカネ君が……」
「いえ……ヒスイさんでしたっけ。彼、あんたに祝福してくれだとか言ってましたよ」
やりますか、と問う旅人さんに首を振った。僕は祝福を受けるべきではない。
「僕には勿体無いです。アカネ君ってば……」
「義手の旅人の祝福でよければいつでもどうぞ」
「あの……僕も義足なので、その……自分を卑下しないでください」
困ったように笑うヒスイさん。見せられた左足は安っぽい義足がくっついていた。
「……油は挿してるか?手入れは?」
「……まだ一度も」
「それ、つけてから何年だ?ざっと見て5年は着けてるな?」
「……それが……アカネ君が言ってたんですけど、粗悪品だったみたいで……中は空洞で」
買ったときは木の枝が詰められていたらしい。粗悪品も粗悪品。義足や義手ってのはそこそこ値が張るものばかりで庶民には購入しがたいものだ。
貴族共はお飾り用に購入するのが大半。義肢として使っているのは見たことが無い。実際、義肢の製作も請け負ったことがあるが、使わずに大事に飾ってあると聞いたときは貴族だったがブン殴った。どーりで寸法気にしないわけだ。
「今の依頼が済んだらアンタの義足を診る。いいか」
「で、でもそれって」
「あぁ、代金の事か?別に手入れぐらい無償でいいさ。勝手に話持ちかけて勝手に請け負ったんだからな」
「じゃ、じゃあ……相当の値段になるまで、うちの料理半額でどうですか……!?」
「アンタも義理堅いな……好きにしな」
交渉成立……なのか?
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