アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
気にしたら負け
-
大きく伸びをして、時計を確認するとそろそろお暇する時間だった(体内時計の中で)。夫人に声をかけるために装飾の派手な階段を下りると夫人と伯爵。近くには腰の位置に頭がありそうな子供が数人。
「あー技師さまだー!」
「おばあさまの言ってたとおりだー!」
「わ、こら触るな!仕事道具勝手に触るな!」
「こーら、トーマさんが困ってるわ」
「……珍しいのは承知してますが、仕事道具ですので……今日はもうお暇させていただきます」
「あら、泊まっていかれないかしら?孫達も喜ぶの」
冗談じゃない、と言葉が遮った。
「技師は子供の遊び相手じゃない。仕事として来ているだけだ。旅人の話が聞きたいなら他所を当たってくれ」
「あら、賃金上乗せでも?」
「明日で請け負った時計の修理は全部終わる」
明後日にはもう来ないからな、という意味を含めると伯爵の顔がかすかに崩れた。
「面白いな。そこまで言葉を選ばん輩は初めてだ」
「選ぶ理由が無いからね」
ますます面白いのか、伯爵は金貨を放ってくれた。おー臨時給料。
「明日も同じ頃に来ます」
「楽しみにしているよ」
「どうも」
伯爵には気に入られたらしい。夫人は面白く無さそうだけど。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 42