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用心棒の飼われ猫
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「よぉ。おにーさんら、お尋ね者集団だろ?ちょっとばかし、ツラ貸せよ」
「追いついた……!」
前に回り込もうと急ぐと、目の前に棒が振り下ろされ慌てて避ける。
暴れる馬を何とか落ち着かせると、下から不機嫌な声が来た。
「避けんな」
「ちょ、待ってくれ!ようやく追いついたんだ!」
不機嫌そうなソイツは、数秒睨んできたが思い出したように頷いた。
「アンタ、旅人ってやつか。東と西で探されてる」
「そうだが……お前は?」
「用心棒のイチだ」
「トーマ。んで……この残骸は」
「思ったより弱かったんでこのザマ」
転がされた人攫い達と半壊に近い荷馬車。中からは泣き声が聞こえてくる。
「そうだっ……リサ!みんな!!」
「とおぉぉぉまぁぁぁぁ!!」
「リサ!みんなは!?」
「無事ぃぃぃぃぃぃ!!」
飛びついて離れないリサを抱きとめると、中から降りてくる村人達。目だった外傷もなさそうで安心した。
「んじゃ、俺は国に報告してくるよ。じゃあな、トーマ」
「あ、あぁ……」
「それ、飼われ猫だ」
「飼われ猫?如何いう意味だ?」
「西の国で有名な奴だよ。噂だと半端者に飼われてるんだと」
「なんでも、三人に同時に気に入られたらしくって囲われてるとか」
「へぇ……珍しいのか?」
果物酒片手に噂好きな奴らが口を開く。人間に飼われているのなら解るが、半端者に飼われるのは珍しい。
「なんか、弱みでも握られてんのかな」
「かもね」
疑問に思いつつ、今度会ったら礼の一つは言うかとぼんやり考えた。
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