アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
行った国の話-1
-
「んじゃあ、上と下、どっちがいい?右と左でもいいけど」
「う、上と下?」
「上が温暖。下が寒冷。そう言えば判るか?」
「じゃあ……下で」
下、ねぇ……何処に行ったかな……雪国に行った話でもするか。
「下な。ディジーは“雪”って知ってるか?この国に雪が降るのか知らねぇけど」
「ユキ……?初めて聞く」
「雪の説明からか。氷は判るよな?さすがに」
「水が固まったものだろう?それくらい知っている」
「その水が固まって、細かく削れたもの、みたいな感じだが、それが空から雨みたいに降ってくる。それが雪だ」
「い、痛くないのか!?」
「痛くない。すぐに溶けるからな」
雪を見たことないやつは、何かの魔法とでも思っているんだろう。まぁ、見た事無いからそう思うんだろうけど。
「その雪の降っている国はとにかく寒いんだ。手足が痺れて間隔が鈍くなる」
「そ、そんなまさか」
「鼻と耳はもう感覚が消える。真っ赤になってな」
さも怪奇譚のように話すと、村の子供達の同じ反応を返してくれる。こいつ、ほんとにオウサマか?
「その雪国では……そうだなぁ、雪国って言っても年中雪が降ってるわけじゃないんだよな」
「そ、そうなのか?」
「あぁ。雪は溶けると水になる。その水を雪解け水って言うんだが……なんとも冷たくてなかなか美味だったりする」
「水が……か?」
「雪国は周りが山に囲まれてて、そこでろ過されるんだよ。だから美味なんだろうな」
寒い雪国じゃあ当たり前だったが……。各地で水は飲んだが、時には吐き出して二度と口も付けたくないような水もあったから笑えてくる。
「雪国は冬は農作業ができないから、工芸品もよかったな」
「おれもその国……行って見たいな」
「いつか機会があるといいな」
「うん!」
うん!って……子供かよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 42