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行った国の話-2
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従者が持ってきた紅茶には手をつけなかった。紅茶だけでなく共に出されたものにも手は出せなかった。いくら勧めても手をつけないのを不思議に思ってかディジーが尋ねてくる。
「この国に来る大分前に入った国でのオウサマの謁見の時、薬の入った葡萄酒を飲まされたんだよ。仕事上酒は余り飲まないようにしてるし、旅人ってのは特定の居場所を持たない。それに、この国みてぇに幸福の象徴だとか言う国も多い」
「つまり?」
「幽閉する気満々だったらしい。飲まされたって言ってもすぐに吐き出したし、舌が痺れた程度だったからすぐに治った。そんで、問い詰めた」
「王に直に?」
「擦り寄ってきたヒメサマを人質にして」
ディジーの顔色が一瞬悪くなったけど、見なかった事にしておこう。
「その国での旅人の扱いは幸福と富の象徴。だから幽閉してヒメサマの夫にさせようとしたんだと」
「如何やって脱出したんだ?城には兵士が居るだろう?」
「窓に飛び込んで、そのまま庭走って馬奪って逃げた」
流石にそれは面白かったらしい。ディジーが手を叩いて笑い出したくらいに。冗談だと思ってんのかな。
いや、実話なんだけど。
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