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飴より甘い
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空の風邪は夜になるとやっぱり悪化して、昼間はそれでもあまり遊び過ぎないで良かったと思った。明日の分も含めて買い物をして正解だった。渓史さんにはちゃんとお礼をしなきゃ。風邪、渓史さんに移ってないといいけどなぁ。割りと相手してくれてたから少し心配だ。
「空はさ…パパとか…ほしいのかな」
眠る空の横で呟いてみる。何度も繰り返し考えてきたことだ。今日の2人を見て特に考えてしまう。
居たことがない存在をほしいと思うのかどうか、俺には分からない話だけど、空はどう思うんだろう。居てくれたらなって自分で思う事はあっても、それは空にとって必要かどうかじゃなくて、俺にとって都合がいいって話だ。
だからって、誰でもいいわけじゃない。
望むのは空と血を分けている人。
だけどそれはΩの自分と結婚するという事で、Ωとの結婚が世間では受け入れられ難いというのはずっと変わらない。これまでも、これからも、そう大きくは変わらないだろう。
だとしたら、尚更渓史さんとは結婚出来ない。渓史さんはもっと皆に認められて、幸せに生きるべきなのだから。
「それを俺が壊しちゃいけないよね…」
空という宝物をくれた事だけで十分なんだと何度言い聞かせただろう。それでも物足りないわけじゃない。ただ、だけど、わがままな気持ちがどうしても目覚めてしまって、もっと側に居たいと願ってしまう。
「雅の復讐だなんて言ってた時は、こんな事になるなんて思わなかったな…」
まさか渓史さんを好きになるなんて思わなかった。離れた今でもどうして好きでいられるのか分からない。空がいるから?きっとそうじゃない。空がいなくても、俺はずっと渓史さんを忘れられなかった。
熱を帯びた渓史さんの目を、
今でも忘れられない。
「渓史さん…タバコやめたのかな…」
熱くて苦いあのキスを忘れられない。
その後にくれた飴の味は、覚えていないけど…
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