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カイ君
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カイ君は幸せだと言ったけど、本当にそうだろうか。でもその前に色々と聞きたいことがあって、僕はとりあえず座らせてもらうと、カイ君はお茶を入れてくれた。
「昔はさ、カイ君のお茶とかご飯とか、僕が準備する方が多かったよね。」
お茶を受け取りながら言うと、カイ君はちょっと考えてから「そうかも」って言った。
「かもじゃないよ。カイ君はほっとくとご飯も食べなかったりするから、僕なりに考えてたんだよ?」
「そうなのか。なんかごめん。」
「…別に、好きでやってたからいいんだけど。今はソラ君がいるからちゃんとやってるんだなって思っただけ。」
「そうだなぁ。まぁちゃんとって言えるのかは分かんないけど、昔よりは随分と気にするようになったよ。」
「そっか…あの、さ…」
「うん?」
これを聞いていいんだろうかと思ったけど、聞かない事には僕も安心できないし、はっきりさせておかなきゃならない事ははっきりさせようと思った。
「その…子育てとかはさ、あの…旦那さんは手伝ってくれたりしてるの…?」
しどろもどろに聞いてみると、カイ君は苦笑を浮かべていた。その笑みを見て嫌な予感はしたんだ。
「俺、結婚してないんだよね。」
「え…」
「結婚しなかったの。俺が望まなかったから。」
「え、望まなかったって…どうして?相手は…その、普通の人なんだよね?既婚者とか、そういうのがあったわけじゃないんでしょ?」
「うん。それはないと思う。聞いた事はなかったけど、既婚者だったら分かってたはずだから。」
「じゃあ、どうして?」
「…それ、聞いちゃう?雅なら分かってると思うけどな。」
「…Ωだから?」
それには何も答えなかったけど、微笑んだ顔を見ればそうなんだと分かる。
カイ君はやっぱりそうなんだ。
誰よりも自分がΩである事を気にしてる。
隣で絵本を読んでいるソラ君の頭を撫でて微笑んだまま、カイ君は昔話を語る様に話し始めた。
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