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愛おしい思い出
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雅からの電話を待っていたつもりもなかったけど、一日中携帯を意識していたのは違いなく…
「いや…待ってたんだろうな…」
少しでも海斗との繋がりを保っておきたくて。今の関係では紛れもなく知人程度のもの。再会できた偶然はあくまで偶然でしかなく、もしまた海斗がいなくなれば、二度と会う事は叶わないと思う。
どうしたらいい?…どうしたら海斗は俺の手を取ってくれるのか…
考えても考えても答えがない。
3年前、海斗が何も言わず何も残さず自分の元を去ったのはどうしてなのか。
あの日、想いは通じ合ったのだと思ったのに。学校に戻った事を後悔した。夜、海斗が部屋にいない事に気付いた時、情事の後では顔を合わせ辛いのかと、自惚れた自分に腹が立つ。あの日連絡をしていれば、何かは変わったんじゃないかと思う。何一つしないまま、当たり前のように明日があるんだと思っていた事を恥じない日はない。
海斗、おまえはあの日何を決めて家を出たんだ。
俺は何を見失っていたんだ。
俺の携帯には、もう通じない海斗の携帯番号が入ったままだ。
この数字の羅列に意味はないのに、それでも海斗との繋がりが、希望がまだ少しだけ残っているんじゃないかと思った。
でも、今はもうその数字に頼らなくてもいい。
会いに行ける。
俺はあの日失ったものを取り戻したい。
だからこそ知らなきゃならない。
あの日海斗がいなくなった理由を。
「素直に喋るやつでもないか…」
それでもあいつは、昔から嘘が下手なのだ。
そんなところも可愛いと思ったあの頃が懐かしく、愛おしい。
こんな愛に生きるみたいなのは性分じゃなかったはずなのに、それでもいいなんて思う俺をあいつはきっと知らないんだろうな…
なんて思う。
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