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月曜日の朝、すっかり元気になった空は早く保育園に行きたいと準備を勝手にしていて、まだ家を出る時間じゃないのに「まだー?」って催促された。全然準備が進まないよりはマシだけど、早すぎて急かされるのも困り者。それでもやっぱり空が保育園が好きな子で良かった。送られてる子の中には、泣いて行きたがらない子もいて大変そうなのを見る時もある。
「ちょっと待ってー。まだ準備が…」
「おそいよーはやくしないとおこられちゃうでしょ!」
「えー?まだそんな時間じゃないよー」
「ちこくしちゃうー!」
だからまだ早いんだってば…
「空、お弁当入れた?」
「かいくんいれた?」
「入れてないよ。テーブルにあるから入れてって言ったでしょ」
「えー?みてくる!」
なんだかんだで朝はバタバタするものなのだ。ようやく俺の準備も終わって「行くよー」って言ったら、お腹が痛いって始まってなんで今なの!ってなりながらも無事に家を出た。
扉に鍵をかけて「よし、行こう!」って空と手を繋いだ時、ふっと視界に人影が映った。誰かと判別出来る程じゃなかったのに、俺はハッとしてその人影に視線を向ける。アパートの塀に背中を預けるように立っていたその人は、「おはよう」と優しく微笑んだ。
心臓が、ドクンと鳴る。
「…谷原先生」
俺がそう呼ぶと渓史さんは少し悲しそうな顔をする。
俺だってあなたの事、渓史さんって呼びたいよ。
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