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理想
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週末前、金曜日までに返事をする。
しなきゃならない。
そう思うのなら俺は動物園には行きたくないんだろうな。
そんな考え方をする前から答えは分かっていたけど、改めて自分の気持ちに向き合うと、それはまぁ同じ結論に至るわけで。
桜庭さんを嫌いなわけじゃないけど、もし桜庭さんが本気で俺とどうこうなりたいって思ってくれてるなら、その気持ちには応えられないから動物園にも行けない。
答えははっきりしてるのに、俺の未来はひどく曖昧だ。
渓史さんは桜庭さんと一緒になる事を勧めてくる。
俺にはそれが何よりも悲しい。
嘘でもいいから否定して欲しかった。
それが嫉妬じゃなくて、純粋な心配でも、桜庭さんへの評価が低いだけだったとしても、理由はなんでも良くて、ただ、「やめとけよ」って言ってくれたら俺はちょっとだけ嬉しかったんだと思う。
わがままだよな、結局。
最後は逃げるくせに、そこそこの愛情が欲しいなんて。
「また来るな」
そう言って帰って行く渓史さんを空と一緒に見送った。空には黙って帰ろうとしたけど見つかって、結局自分で今度お絵描きしようって言ってた。
お絵描き。
なんかそんな言い方するんだな…なんて思ったら胸のあたりがちょっとこそばゆくて、可愛い…なんて思う。
どうせ行くなら、未来がなくても渓史さんと。
そう望む俺って、やっぱり自分勝手かな。
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