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出発
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40も半ばを迎える男が動物園に行くだけでこんなに喜ぶものか。
だが素直に嬉しい。
好きな子と居られる事が嬉しい。
車で海斗くんの家まで迎えに行くと、呼び出す前に部屋から出てくるのが見えた。準備を済ませて待って居たのかと思うと、空くんが随分と楽しみにしていたんだろうなと思う。
「おはよう」
車から降りて後部座席の扉を開ける。そこには昨日買っておいたチャイルドシートがあって、海斗くんはそれを見て、ハッとした顔をする。
「おはようございます…あの、これ…」
「ないと駄目だろう?」
「そうですけど、わざわざ買ったんですか!?」
「僕には子供がいないからね。」
「そういう事じゃなくて…あの、お金出します!こんな空と動物園に行く為だけに買っていい金額じゃないですよ!」
「いいよ。僕の方が大人なんだからお金の心配はしないでよ。それにまた使う機会があるかもしれないだろう?」
海斗くんはまだ何か言いたげな顔をしていたが、僕はお金なんてもらう気はないし、また使う機会があるかもっていうのも嘘じゃない。出来れば海斗くんと一緒になって、また空くんとと思うけど、可能性だけなら他の場合も考えられるし。まぁ、今は海斗くんしか目に入らないから、そんな可能性はないんだけど。
空くんをチャイルドシートに座らせて、海斗くんは助手席に座ってもらう。本当は空くんの隣がいいんだろうけど、これはちょっとした僕のわがままだ。
「さて、行きますか。」
「…よろしくお願いします」
海斗くんはまだ不満そうに、でも半ばを諦めたようにそう言った。
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