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天使な雅ちゃん
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忘れよう。そう思う事にした。
だってそうでもしないとやってけないよ。好きでもない男にファーストキスを奪われて、しかも抵抗らしい抵抗も出来なくて?俺ってそんなに非力だった?って感じじゃん。情けないし、先手を取られた悔しさもある。雅をどうたらし込んだのか、見ているようで腹立たしい!!
忘れよう、忘れよう。
そう思いながら全然忘れられないまま、今日という1日を過ごした俺でございました。
家に帰ると先に雅が帰って来てて、俺の癒しー!って思って抱きしめようかと思ったのに、忌々しい谷原のあの言葉を思い出してその手を止めた。
セッ……うん……ね。
そりゃあさ、1年も付き合ってればそういう事もするだろうさ。だけどさ、なんかお兄ちゃんとしては、そういう事は考えたくなかったんだよ。だって天使な雅ちゃんがさ、セッ……うん、慣れろ、俺。
「あ、お帰り。今日バイトじゃなかったの?」
雅が俺に気付いてたまらない笑顔を向けてくる。
はぁ〜やっぱり天使だ〜♡
「バイトだけど、時間あるから帰って来た。着替えもしたかったし。」
「そうなんだ。そういえば新しいクラス、西先輩がまた同じクラスなんだね!良かったね!」
「そうなんだよー、てかなんで知ってんの?」
雅ってば俺に興味津々?嫌じゃないぞ♡
「昨日西先輩に会って聞いたの。」
あ、そう。
「担任の先生、谷原先生なんだってね。」
「…そうみたいだなー」
どうして今その名前をっ!?てか、雅からまさかその名前を出すとは!!…やっぱりあれかな…俺にちょっと気を使ったりとか…それとか、吹っ切らなきゃみたいな、健気なやつなのかな……谷原許すまじ!!
「上手くやれそう?クラスの皆と。」
雅は俺がΩだから友達が出来ないこと、割と身近に見てきたから凄く心配してくれてる。西が同じクラスだって知って、きっと凄く安心してくれたんだろう。俺の心配より、自分の心配してよ。
「まぁ、なんとかなるんじゃない?」
だから俺はいつだって、雅の前では笑ってみせる。
「谷原先生、力になってくれるといいね。」
「それはないだろう。」
あ、うっかり即答しちゃった。でもね、雅ちゃん。谷原センセーは今日僕とクラスの女子にまんまと溝を作ってくれましたよ。それもわざとね。俺が何か企んだからとか、自業自得って言われたらそこまでだけど、にしてもやり過ぎだよね。まぁでも、雅ちゃんの為なら俺頑張るよ!
「さて、準備してバイト行ってくるかなー」
「え?でも時間あるんでしょ?」
「んー、けどバイト行く前に買いたいものあるから、寄ってから行くー。」
「そうなんだぁ…最近カイ君とあんまり一緒にいられなくて寂しいな…」
「…み、雅ちゃん!!」
これが天使なのです!!俺だってずっと一緒にいたいよー!バイト…は楽しいけど、雅ちゃんといるのとは比じゃないんだよー!けどね…世知辛い世の中で、俺はバイトをしないと生活出来ないの。それがこの家の決まりなのだから、しょうがないのだよね。
「バイト代出たらさ!遊びに行こう!」
「本当に!?嬉しい!」
「俺も嬉しいよー!じゃあ、張り切って仕事してくるね!」
「うん!頑張ってね!」
ほら見ろ。天使な雅ちゃん。やっぱ見るな。俺だけでいい。こんな天使ちゃん…天使ちゃん?天使ちゃんだよ。を、さ、谷原が独り占めしてたのかと思うと最早ハラワタ煮えくり返るね!それでも天使ちゃんが幸せなら良かったんだよ!だけどあんのやろぉ!!
絶対後悔させてやる!!
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