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約束
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帰り道の途中でスーパーに寄る。冷蔵庫の中身を思い返したらどう考えてもハンバーグは作れなかった。
「かいくん ぼくね、おかしかいたい」
「えー?昨日も買ったでしょ?まだおうちにあるよ?」
「でもさぁ、チョコたべたいんだよ?」
「だーめ」
「きのうかったやつはふくらむやつだもん!」
「それは空がガムがいいって言ったからでしょう?まだ残ってるからだめだよ」
「そっちはかいくんがたべて!ぼくはチョコがたべたいの!」
「やだよ。ちゃんと自分で食べて。」
「いやー!」
こうなるとしばらくは不貞腐れるか、怒るか、泣くかだ。その日によって違うが、それでも大体そんなもので、今日は「怒る」だったみたいだ。
「チョコかうの!」
「買わないってば。今日はお菓子売り場行かないよ。ハンバーグ食べるんでしょ?お肉買いに行こう?」
「じゃあハンバーグいらない!チョコたべる!」
「ダメだよ、何言ってるの!ご飯は食べなきゃダメ」
「チョコも食べなきゃダメ!」
「ダメじゃない。今日はおうちにあるお菓子食べて。そしたら明日買ってあげるから。」
「いまたべたいの!いまじゃなきゃやなの!」
この我儘っぷりは俺に似たのかなぁ。思いたくない…
「…もぉー!今日だけだよ?明日はおやつ買わないからね!」
「うん!やったぁ!」
買ってもらえると分かった途端にお菓子売り場に向かって走り出す。テンションが上がると周りが見えなくなるのは俺の遺伝な気がする。
「こら!走ったらダメ!」
「かいくんもはやく…うわぁっ!」
ガタンッと何かにぶつかる音と、幾つか物が落ちる音がした。空が何かにぶつかったのは歴然で慌てて駆け寄ると、案の定棚にぶつかった空が尻餅をついていて、その側にはお菓子の箱が幾つか落ちていた。
「だからダメって言ったでしょ!」
俺は慌てて箱を拾いながら箱が潰れたりしていないかチェックする。
「かいくん…ごめんなさい…」
「お店の物が壊れちゃうかも知れないし、空も怪我したら大変だからね、もう走らないって約束して?」
「…やくそくする」
ポンッと頭を撫でてあげると、空はちょっと泣きそうな顔で笑った。
拾った箱は全部かな?と見渡した時、一つだけ遠くに転がってるのがあって、それを拾いに行くと俺の伸ばした手よりも先にそれを拾い上げる手があった。
「あ、すいません」
そう言って箱を受け取りその人の顔を見た。
瞬間、
息が止まる。
どうして…ここにいるの?
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