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アンバランス
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海斗が住むアパートを見て心苦しさを覚えた。そこには海斗と空の生活があって、入り込める余地がない。ただ1つ疑問が浮かぶのは、空が言っていた「ぼくにはかいくんしかいない」という言葉だ。
あれはどういう意味だ。
海斗はその事には触れて欲しくない様だった。子供がいる事は、家庭があるという事で、つまりは夫と呼ばれる存在があるというのは少なからず間違った認識ではない。けれど、もしかして、海斗にはいないんじゃないだろうか。
見えてこない海斗のこの数年間が、どんなものだったのか。
興味なんてものじゃなくて、そこには間違いない愛情がある。
「俺はあの頃と何も変わってないんだぞ…」
意地っ張りで、寂しがりやで、弟思いで、生意気な、あの頃の海斗を俺は好きなままだ。
「海斗」
来た道を振り返れば海斗の住むアパートが見える。あの世界では俺以外の誰かが海斗を幸せにしているんだと、そうであって欲しい様な欲しくない様な、乱れた感情が胸を騒つかせている。
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