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自覚してしまえば目指すだけ
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「そりゃ恋だろ」
サガラはあっさりその禁忌の一文字を口にした。牛乳を啜って白く汚れた口で。
「やっやっぱり?」
もじもじ落ち着きなく身体を揺らすシュウはサガラを上目で見つめる。
うむ、とチョコレートを一口分頬張り嬉しそうにもぐもぐ食しながら、追加説明をした。
「胸がドキドキして嫉妬して離れると寂しい…完璧に恋の病だなそりゃ」
「そっそうなんだね…やっぱり俺…」
恋しちゃってるんだ。と気恥しさに顔を真っ赤に染めるシュウに、サガラは眼を見開いて身を乗り出した。近づいてきた愛らしい顔立ちに、首をそらす。
「誰にだ!誰にだ白状しやがれ!」
「うっうわあ!サガラ眼怖い血走ってる!ちょっとユツキ助けて!」
暴走するサガラのストッパー、ユツキを召喚すると彼は迅速に動いてくれた。サガラの肩を握りやや強引に元の位置にまで引き戻す。
「なにすんだユツキ!」
「サガラ、落ち着いて。そのままでも、話はできる」
「そっそうだな取り乱したか」
ユツキの一言でサガラの暴走は収まるのだから便利なものだ。それで?と背もたれにもたれかかってサガラは再度尋ねる。
これは言ってしまっていいのだろうか。というか彼らにしか相談できない気がする。男と男だが下手なカップル達よりお似合いな二人のことだ。素敵なアドバイスをくれるはず。
シュウは恐る恐る相手の名前を呟く。
「…ト」
「あぁん?ヒナト?」
「違う違う!はっは…」
「くしゃみ?」
「違うって!ハルトだって!」
勘違いばかりする二人に苛立ちを感じて、やややけくそ気味にたたきつけた。幸い周囲の人間は自分たちのお喋りに夢中で誰も彼らのことは気にかけていなかった。
ハルト。その名前を聞いた瞬間、サガラとユツキの表情が止まった。見事なまでに。ユツキはもともと表情は変わらないが、サガラはあっけにとられてぽかんとだらしなく舌をのぞかせている。
「おっ俺どうしたらいいかな?もっもうハルトのこと友達として見えないんだけど…俺、へんかな?」
「そっそれ本当?嘘じゃないよな」
怖い何かが入っている箱を確認するサガラに、シュウは赤面しながら頷いてやった。
すると、
「やっやったーーー!ハルトやったなおいいいいい!!」
椅子を蹴り飛ばして両腕を大きく振り上げて喜びを大げさに現した。これにはさすがの生徒たちも吃驚しながら万歳を繰り返すサガラを凝視する。
ユツキも無表情ながら「ばんばーいばんばーい」と上げ下げしていた。
「なっなに!?騒がないでよ!」
「わりぃわりぃ!でもこれは喜ばずにいられないってマジで!あの鈍感無自覚天然馬鹿がついに自覚しやがった瞬間!ユツキ、晩飯はお赤飯だ!」
「了解。丹念に、作る」
「これはリョウにも報告だな!」
「ちょっまって!やめてほんとうに!」
「何を騒いでるんだ?」
「ちょうどいいところに!リョウ、今日はめでたい日だぜ!なんとシュウが鈍感無自覚天然馬鹿から卒業して自覚天然馬鹿にレベルアップしたんだぜー!」
「だからもうお願いだからやめてよおおおおお」
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