アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ここまでがRoutine
-
シュウを家に送り、静まり返った家の鍵をとりだして中に入ると、リビングから明りがもれだしていた。
珍しいことがあるもんだと眉をひそめ、若干の息苦しさを覚えながらドアを押しあける。
いつもはぽっかりあいている椅子の一つに、ところどころ白いものが混じってきた男性が腰を掛けていた。
入室者に目を向けず黙々と新聞紙を見つめている男性に、ハルトも何も言わず台所からお茶を取り出してあおる。
飲み干してそのまま自室に引っ込もうかと思ったが、ぴくりとも動かないまま低くしわがれた声音が響いた。
「…どこにいってた」
「遊びに行ってた」
素直に答えると、男の肩がぴくりと揺れる。
油の切れたネジのような動作で新聞紙を机に置き、首だけ向けてきた。きりっと厳しそうな相貌がハルトを睨みつける。
「遊びにだと?今が大事な時期だとわからんのか?」
「まだ2年生だが?俺も高校生なんでな。たまには遊んだりもするさ」
刺々しい物言いに男、ハルトの父親は更に目を吊り上げた。
「お前ごときが遊んだりする暇があるとでも思っているのか?努力を怠ればすぐに抜かれるぞ」
「うるさい。余計な御世話だ」
荒くはき捨てるハルトに、父親は再び溜息を吐きだした。呆れきった息に、ハルトの頭に少しだけ血が上る。
「…そうだ。今回の成績を見せてもらっていないぞ」
きた。
この瞬間が来ないことをどれだけ待ち望んでいたか。
今日楽しかった思い出が薄れていく。シュウの笑い声、楽しそうな笑顔がかすんでいく。
だが逆らうわけにもいかず、ハルト臨戦体制で成績表を机に放り出した。
ハルトの家の明りは消えることなく朝日にまぎれていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 106