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燃えよ、魂球!球技大会!
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ついに球技大会当日。
教室内は今日一日は授業なしという最高のイベントに心躍っていたが、とある5人が集まる一角だけは重苦しい空気に沈んでいた。
勿論負けたら女装しなければいけないグループだ。
「はっきり言おう。戦況は恐ろしく不利だ」
リョウが泣きそうになりながらトーナメント表を机に置いた。
彼らのチームは、ヒナトのクラスと両方とも勝ち進めば3回戦で当たることになっている。
「一回戦は問題ない。1年生だしな。ハルトの威圧オーラで意気消沈させてくれ」
「俺を何だと思ってる」
ハルトの突っ込みにキレがない。
彼もこのおかしな状況に参っているのだろう。
「2回戦と3回戦が連続ってどうゆうことだよ!決めた奴殴りてえ!」
代わりに不平等なトーナメント表を殴って鬱憤を晴らすサガラ。隣でユツキがあたふたしている。怒るサガラをどう静めようか悩んでいるようだ。
「これは辛いな。しかもヒナトは中学の時サッカー部の副キャプテンだったぞ。近くから見ててやっぱりあいつは身体能力が高い」
「あんなのが?すぐ悪口言う奴が副キャプテンとか考えられねえ」
「うーんなんでだろうな。二人のときはあまりあんなこと言わないんだ。それに女装なんてばかげたことを言う奴でもなかったんだが…どうしてだろう」
それ以上深く探ると出てきてはいけない原石が出てきてしまいそうな気がしたのでシュウは早々に考えることをやめた。
「まあ俺らはあいつじゃないんだから考えるだけ無駄だ」
「…まだ、不利な要素って、あるのか」
ユツキの消え入りそうな疑問にリョウは頷いた。
「ヒナトのいる2Aには運動部に所属している生徒が数多いるんだ。それに比べてこちらはあまりにも手数が少ない」
「…そう、か。罰ゲーム、決定なのか?」
どこか期待したまなざしでサガラに熱視線を送るユツキに、ハルトは呆れてため息をついた。
どいつもこいつも、仕方ない奴ばかりだ。
「こちらも真剣にやるしかないだろ。必勝法がないだけで必ず負けると決まったわけじゃない。絶対なんて定理はない。運命なんて定義もない。その時の状況によって勝敗は二通りに分かれるんだ」
「えっおっおうそっそうだよな!うんめーなんていうていぎもないよな!」
理解できなかったくせにハルトに同調するシュウ。
無言でハルトがその空っぽの頭を張り倒すと、がらりと教室のドアが開いて笠木と少し遅れて慎宮が入ってきた。
「みなさんそろそろ開会式ですので体育館に入ってください。それと前半後半に分けてしまうと時間がかかりすぎるそうなのでやめになってしまいました」
「あのテンションはなんだったんだ」
「今朝急に決まったことでして…」
「あれ?ルイルイ先生も体操着ですけど先生チームとして入ったりするんですか?」
「いいえ。私は審判です。慎宮先生は入るそうですけど」
「腕が鳴るっすねーたとえ生徒だろうとぼっこばきに捻りつぶしますよ」
荒い言葉をだるい口調で言われても何も怖くなかった。
「ルイルイ先生に俺の雄姿を見せるチャンスを逃すわけにはいかないしね。あっ可愛い女の子にもしっかり俺のかっこいいところをその心のレンズでのぞいてもらいます」
臭すぎるセリフに何故か沸き立つ女子たちに笠木は頭痛を理由にして休もうかと本気で思ったらしい。
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