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すれ違いに奮闘する少年R
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「なあ何かシュウ元気ねーんだけど…リョウしらね?」
「ああ。色々あってな」
それから数日が経ったが、ハルトは一向に学校へと来なかった。笠木も浮かない顔をしてハルトの出席簿に欠席の文字を連ねていた。
担任である彼もハルトの留学事情を知っているが、直前まで言わないつもりだろうか。
それはきっと仲良しであるシュウのことを重んじて黙っているのだろうが、その当本人はとっくに知ってしまったのでその優しさもあまり意味がない。
シュウは一応通っているが、もぬけの殻のようにただぼーっと授業をうけている。
サガラとユツキが気を利かせてお菓子を与えても、無言で咀嚼するしか反応を見せない。
「こんなときにハルトいねーのかよ!いつも支えられてんだからこういう時こそ来いつーの!」
文句を言いながらパンをかじるサガラに、リョウは顔をあげて何か言おうとした。
だがきっと教えるとサガラは激怒するだろう。なぜ言わなかったんだとリョウにも飛び火は飛んでくるかもしれない。
リョウが殴られるのはいいのだが、停戦で落ち着いた彼らの基盤を怒りで行動して荒らしてしまうのは避けたかった。
黙っていた自分だけ責められて終わるならそれでいい。
彼らの行く末は、彼らにしか決められない。邪魔をするならば、俺が止めに入ろう。
だが、まだシュウは全ての現実を知らない。教えるべき時を、ずっと待っている。
リョウの苦難を知らずに、ユツキの膝で昼寝をしだしたサガラだった。
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