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ユニークオーダープリーズ?
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「いらっしゃいませー。何名様でしょうか?」
「見てわからないか。どう見たらこれが6人に見えるというんだ?」
「すっすみません!」
つんけんとした言葉に、店員は顔を青くして腰を折り曲げた。
ハルトはそんな店員に謝罪も何もせず、ふんっと冷たく鼻で笑い飛ばした。
「おいハルト。なんでそんなに機嫌が悪いんだ」
縮こまってしまった店員さんを慰め、さっさとあいている席に座ったハルトに、リョウは非難のまなざしを向ける。
「別に悪くない。普段通りだ」
「その声が怒っているんだ。何にでも八つ当たりするな」
シュウは殺伐とした雰囲気の二人を不安そうにメニューを掲げている。
サガラとユツキは喧嘩しかけの二人を気にしておらず、フルーツの欄を熱心に眺めている。そのスルースキルがほしい。
「…お前だけいい思いしていいよな」
「え?何て言った?」
「…なんでもない」
ポロリとこぼれた言葉を飲み込み、ハルトは仏頂面で窓のほうを向いてしまった。
その横顔が明らかに面白くなさそうな色に染まっていて、シュウの怯えは消えない。
ここで無策に口をはさめばハルトの銃弾に打ち抜かれてへこまされてしまうのがオチだ。触らぬハルトに祟りなし。
「それにしても球技大会は盛り上がったな。あんなに白熱したものになるとは思わなかったぞ」
ルイルイ先生も褒めてくれたし。リョウは水を煽りながら何となく付け足す。
球技大会で優勝はできなかったが、ヒナトとの戦いで全力を出し切ったのでそれ以上の盛り上がりを見せた。
噂によると彼らの試合がもっともギャラリーが楽しんだものだったそうだ。
ライバル同士のバトルが一番燃えるとはよく言ったものである。
「あんな泥仕合のどこが楽しいというんだ。だいたい、周りが面白いともてはやしても本人が楽しくなければそれはただの皮肉にしかならない。
ぐちぐちと腐敗のオーラを振りまくハルトの周辺が、錯覚か少しどす黒くなってきたように思える。
いちゃいちゃしていたバカップルどもが現実に戻ってくるほどハルトの不機嫌さは極めに達しかけている。
「だからなぜそんなに怒っているんだ…」
ちらりと
目線でリョウが褒めろと伝えてきている気がしたので、シュウはその指示に従うことにする。
「それってハルトが頑張ったからだよな!あの時のあれめちゃくちゃかっこよかった!」」
少々棒読み口調で褒め称えてみると、ぴくりとハルトの体が揺れた。前髪に隠れた双眸を露わにし、じっとシュウを見つめ返した。
「…何を馬鹿なことを。世辞ぐらいまともに言えるようになってから出直してこい」
「いてっ」
隣に座っているシュウの額を軽くはじき、ハルトは再び外に視線を戻した。
失敗か、とシュウはしょぼんと落ち込んでいるがリョウから見たらハルトのイライラが緩和されていたのでホッと胸をなでおろした。
「とりあえず何か食おうか。晩飯に響かない程度にしておけよ」
「俺チョコレートパフェと…んーっと。タルト!」
「ハンバーグ!」
「小豆まんじゅう」
「ヨーグルト」
「お前らは本当に自由だな!あっ俺はトマトスープをお願いします」
「はっはい…」
お前も意外性をついてるよ。本当にバラバラだな。
と店員は思ったが口に出すほど命知らずではなかった。
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