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反省会より食事会
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「それにしてもヒナトの女装は意外と似合っていたな。本気で誰かわからなかったよ」
トマトスープを啜るリョウに、ハルトはヨーグルトを口に運びながら言い返す。
「まだまだ俺はやりたりない。もう二度と逆らってこないように徹底的に苦しめたかった」
残念そうに呟くハルトの隣で、シュウは熱々のハンバーグにナイフとフォークで挑んでいたが、うまく肉が切れずに悪戦苦闘している。
さりげなく両手の凶器を奪い、さっさと肉を細切れにしていきつつ、ハルトはリョウを見ている。
手元を確認せずほぼ均一な形に切っていくので、シュウは目をキラキラさせながらその様子を見守っている。
「ヒナトをあまり苛めてやらないでくれ。あいつはいいやつなんだ」
「どこがいいやつなんだ!あんな悪口の塊みてえな野郎!」
「サガラ、頬にチョコレート」
少量茶色いクリームが頬に付着していたので、ユツキは人差し指でそれをぬぐい取る。
そして何の躊躇もなく、それが当たり前だという仕草でなめとった。
「なっなにをしてんだよユツキ!」
サガラは顔を真っ赤にしてユツキを睨みつける。まだ指をぺろぺろしているユツキとは対照的な顔色だ。
「チョコ、美味しい」
「そういうことじゃなくてな!ガキ扱いすんなっつってんだよ!」
「あまりにも可愛かったから、つい」
駄目だった?と言わんばかりの首の傾げ方に、サガラのほうがうっと反論に詰まった。
ユツキの仕草が可愛かったせいもあり、まだ口の中に入れたばかりのアイスをすぐ飲み込んでしまう。
「もっもういい…」
スプーンをくわえ、俯いてしまった恋人を心配そうに覗き込む。
「サガラ、どうした?体調でも、悪い?」
「うっせぇな馬鹿!ほっとけ!」
「ハルト!そこまでハンバーグ切らなくていいんじゃね?」
「喉に詰まらせたらどうするんだ。人参も食えよ」
「過保護かお前は」
「嫌だ!野菜は嫌いだ!」
「………」
「無言で肉を切り刻むな!怖いから!」
細切れになっていくハンバーグだったものを涙目で見下ろすシュウを苛めるのをやめ、ハルトは自分のヨーグルトを食した。
好きな子ほど苛めたくなるというが、これは度が過ぎるのではないか。
そんなことをスープを皿ごとあおりながらリョウは思った。はたから見たらすごい光景である。
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