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別れはもう終わったのに
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シュウがいればまだましか、と冷めていた昔。
だがこうして感傷に浸るほど深い思い出が校舎に詰まっているんだと。
案外悪くなかった。
別れを告げるようなことはしない。
帰ってくるから。
この校舎には戻ってこないかもしれないが、この国に必ず再び足を踏み入れる。
今より、自分だけじゃなく他人を守れる強さを持って。
助手席の扉を開く。
こうして思い出すのはあのあほ面なのだからどうしようもなく救えないな。
おぼれすぎているんだ。
ハルトは自嘲じみた笑みをこぼし身をかがませた瞬間、聞き覚えのある声が彼を引きとめる。
別れはすでに済ませたというにいうのに。
やはり奴は自分をそこに縫いつけるようだ。
未練は、きれいさっぱり断ち切ったほうがいい。
ハルトは振り返った。
そこには眩しいほど涙を流している幼馴染が、確かにそこにいた。
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