アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
証のリング
-
再開の幸せをたんと味わった二人はとりあえず場所を移動することにした。
ハルトの父親も来ていて、眩しそうに自分の息子を見つめる。
「大きくなった…やはりあっちにやって正解だったか」
「ふん誰に物を言っている。いいから車を回せ」
乱暴な言い方にハルトの父親は黙って肩をすくめる。
数年前までシュウ以外にあまり暴言を吐かなかったハルトに、シュウは茫然と口を開いた。
やはり環境の違う場所で生活すると性格も変わってしまうのだろうか。それとも自信と実力がついたおかげで、ただでさえ高かった高飛車とプライドに拍車をかけてしまったのであろうか。
だがシュウを抱きしめたハルトは優しさを忘れていなかったので、大丈夫だろう。とポジティブに思考をやめたシュウだった。
ぽけーっとするシュウを車に押しやり父親に車を出すように声をかけ、やっと動き出す。
しんっとした静寂にシュウは戸惑う。数年ぶり、といっても1年とちょっとしかないのだが、もっと語るべきことがある気がする。
ハルトは率先して話を始めるタイプじゃなかった。ここはシュウが口を開かなければハルトの家まで息が詰まる思いをすることになる。
直感したシュウはもぞもぞしながら大人びた相貌になった幼馴染を見る。
「いっイギリスどうだった?やっぱりご飯おいしいの?美人さんいっぱいいた?」
「飯は日本食が好きな俺にはくえたもんじゃなかったな。味がひどいというか調理してるのかあれは。金髪の乳がでかい女しかいなかった(作者の勝手なイメージです)」
ばっさばさと大国をぶった切っていくハルトに苦笑すると、何かに気づいたように目を細められた。
「そうだお前ピアス持ってるのか」
「うっうん大事に持ってるよ!今もあるんだよ!」
「そうか。ならそれはいらない」
「へっ」
呆けた返事を返すシュウに、ハルトは黙ったまま何かを握らせた。何だろうと手のひらを開くと綺麗な輝きを放つ一つの小さな指輪。
始めてみるような仕草で違う角度から観察する。どう見ても指輪だ。デザインはシンプルに見えるがシュウの目から見てもすごい凝りようだ。いくらするのだろう。
値段が気になるあたりまだシュウは庶民の枠から抜け出せていない。
「男と女よけだ。そっちのほうが効果は高いだろう」
「うっうんありがと…?」
「礼を言うならもっと別のことで返してほしいもんだ」
「えっ?えっ?はっまさかアイスか!俺にアイスをおごらそうとしてるのか!汚いぞハルト!」
「…そういうことはよそでやってくれ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
100 / 106