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結論付けられた勝敗
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「それじゃあさっそく試合するぞ」
体育館に移動したハルト達はさっそく試合を始めることにした。
やる気十分なハルトがコートに立つと、シュウが躊躇しながらその背中に声をかける。
「そっその!負けたら本当に罰ゲームってするのか?」
遊んでもらうための口実を本気にされてしまい、シュウは軽いパニック状態に陥っていた。
数日前のヒナトに課せられた重い罰ゲームを想像すると、自分もあれ並みか以上の辱めを受けると思えば再度確認もしたくなる。
はずみで提案したものを否定したいが、ハルトがそうさせてくれるとは思えない。
絶望的な状況にハルトは無言で追い打ちをかける。
やっと振り返ったと思えば、その表情にシュウは小さい悲鳴を上げた。
あの時浮かべた極悪微笑と同等に黒い微笑み。
今回はそれがヒナトではなく、自分に向けられているという事実にシュウは戦慄した。
何をたくらんでいるのか分からないが、ブラックハルトの策略に打ち勝つのは困難極まりないだろう。
「ダブルスでやんのー?」
あまりやる気が見られないサガラが、ユツキに問いかけた。
「サガラは、どうする?やりたい?」
「うーん。シュウが可哀そうだけど、観戦もありかなー」
「えっ!?俺だけでやるの?」
思いがけない展開に、シュウはあからさまに驚愕した。
魔王に勇者単独で乗り込めと言ってるようなものだ。
「おう。たっぷりいたぶられてこい」
「そそそそんな!」
乗り込めと言われた。
シュウは目の前が真っ暗になったが、すぐさま真剣な目つきになる。
「うじうじしててもしょうがないよな!負けることばっか考えてても意味ねーし!」
「やけに男前だな」
ときどき妙に男らしいところがあるシュウに、リョウは感心したような息をもらした。
だがこの大魔王に勝てる見込みはゼロに近い。というかあるわけがない。
決まり切った結果を見るほど、退屈なものはない。
リョウはそんな事を思いながら、もちろん口に出したら非難の視線が浴びせられるのもわかり切っているので口には出さず、いそいそと一人でコートを立て始めた。
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