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色々ありすぎて困りますが
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「さて、敗者には俺の言うことを聞いてもらおうか」
数分で決着がついたコート内で、ハルトは正座をしてうなだれているシュウを見下ろす。
後ろのほうでいそいそとリョウが片付けているが、誰も手伝おうとしないのはもう暗黙のルールである。
サガラは身を乗り出して、ハルトがどのような鬼畜命令を繰り出すか大変興味をそそられていた。
ユツキもなかなか気になっているらしく、そちらのほうに耳を傾けている。
誰も助けてくれないという事実を恨みながら、刑の執行を怯えてまっていた。
一方ハルトの表情に動きはないが、内心結構焦っていた。
………やってほしいことが、ありすぎて困る。
色々溜めていた妄想を具現化する手段を手に入れた時は、狂喜乱舞したものだが、実際決めろと言われても候補の山から、一つだけ選べと迫られても。
大量にあるお菓子の山から、一番好きなものだけ選びとれと言われても子供ながらの答えは「全部ほしい」だろう。
欲張りは駄目だと理解していても、本能はそう都合よく分かってくれない。
そんな葛藤にハルトが悩まされているとはつゆ知らず、周りから見ればただ焦らしているようにしか見えない。
「ハルト…あっあんまり無茶なこと言わないでくれよ」
上目づかいで切なげに懇願するシュウの姿に、ハルトの精神は大きくぐらついた。
「…メイド、ゴスロリ…いや、セーラーか…」
「なっなに言ってんだよ!」
不穏な呟きにシュウは大げさなほど飛び上がった。
「こっコスプレなんていうのはな!球技大会の時に使ってるから面白みがないんだぞ!ワンパターンは駄目なんだぞ!」
「知るか」
冷たく一蹴され、しゅんっと落ち込んだ。
しかしなるほどそうかとハルトは渋々ながらもコスプレを諦める。
シュウの瞳には真剣に厭だという色が映っているのもあった。
ならば…!
「ヨーグルト」
「え?」
「ヨーグルト奢れ!」
やけくそのようにハルトは再度叩きつけるように怒鳴った。
「そっそんだけでいいの?マジで助かるー!」
歓喜を露わにしてシュウはハルトの首に飛びついた。
首に巻きついてきた細い腕に、もっていかれかけるもハルトはど根性でその場に踏みとどまった。
至近距離で向けられるシュウの笑顔で、これはこれで有りかとコスプレへの執着を捨て切れない今だが少しだけ満足心を得たハルトだった。
「それだけ…?面白い、という以前に、残念」
「肝心なところでへたれだからな!しばらくからかってやろうーっと!」
「…俺の存在って何なんだろうな」
錆びが付着した両手をぬぐいながら、リョウは離れた位置で目をウルウルさせていた。
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