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馬鹿は死んでも治らないかもしれない
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「それでは授業をはじめま」
「ちょっと待ってよルイルイ先生!」
「笠木先生と呼びなさい!なんでしょうか」
あだな呼びされたことに機嫌を損ねつつもきちんと質問は受け付けた笠木は、教壇に一番近い先頭の席でうなだれている生徒を眺める。
「なんで席が一番前でこいつと隣なんでしょうか!」
「補習を受けるなら一番近い席のほうが色々と都合がいいでしょう。むしろなぜ後ろで受けられると思っていたんですか?」
「ごもっとも!でもねなんでこの二人だけなの?他の生徒は?」
アホ毛を揺らして首を曲げるシュウに、笠木は若干憐れみが混じっている視線を送る。
「それは…君たち以外に赤点をとった生徒がいないからじゃないでしょうか」
「そっそんな!俺ってそんなに馬鹿なんだ…」
事実を超える真実を突き付けられ、しょぼくれるシュウだった。笠木はチョークをもった手をおろして彼の質問に応えるべく口を開いた。
「いえ、むしろなんであのテストで赤点が取れるんですか?今回は教科書から丸々でた教科が多かったはずですが」
「あぁん?んなもん教科書すら開いてなかったに決まってんだろーが!察しろ!」
ぶっすり頬杖を突いていたヒナトが吠えた。犬歯をのぞかせて威嚇する狂犬に、ちょっと怯える笠木だがここで引いては舐められると謎の使命感に燃える。
「それじゃあ自業自得ですね。君たち、そろそろ授業はじめていいですか?」
早く授業を始めたくてうずうずしてきた笠木が促すが、またもや問題児が訴え始めた。
「待て!俺とこのアホチビ一緒にすんな!せめて名前分けて呼べ!君たちやめろ!」
「そんなに俺とひとくくりにされるのが嫌なの?」
「虫唾がはしらぁ!こんな小学生の脳味噌で止まってるガキと一緒にすんな!」
「あっ言ったな!ヒナト今回の総点いくらだったんだよ!」
「てめぇが先に言ったら教えてやる」
「俺はねーごにょごにょ」
「なっなんだと!?こっこれは夢じゃねえのか!カンニングしただろ!」
「してないよ!えっ?ということは俺より下?うわっそれちょっとヤバいよ…」
「かわいそうな子をみる目やめろ!泣けてくるだろうが!」
「いい加減にしなさいっ!」
態度が小学生波である二人の生徒に、笠木の堪忍袋の緒が切れた。シュウはすくむが、好戦的なヒナトにはあまり効果が見られないようだ。
「んだよ偉そうに!何様だ!」
「貴方と比べればそりゃえらいですよ!おとなしく席に座って黒板見てなさい」
黒板を手のひら手強くたたいて注目させようとする。しかしヒナトは怯まない。どこまでも横暴な態度でぷいっとそっぽを向いて反感を示した。
「やなこった。俺に命令してんじゃねーよ」
「…桜木雛人、補習の態度最悪減点対象に…」
「うお!それだけはやめろ!進級できなくなるだろうが!」
「どうでもいいから早くやろーよ…」
勉強嫌いなシュウがそんなことを言い出すほど、ヒナトと笠木の応酬がくだらないものであることを察せられる。
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