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休憩すらままならない
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そんなこんなで補習は終わり、ぐったりした二人を置いて最後の科目を教え終えた教師は退室した。
疲労しきったシュウは空腹を訴える腹を抱えて、のろのろと帰りの支度をする。
ちらりとヒナトのほうを見ると、机に倒れこんだまま身動きしていない。幻覚か後頭部から白い魂が抜けているようにも思える。
めったに勉強しないヒナトにこの地獄の4時間は耐えきれなかったのだ。
無言で黙祷し、シュウはそっとその場を後にした。死の匂いが漂う教室から這い出ると、少しだけ気分が楽になる。
「遅かったな」
「ん?ハルト…なんでお前は早いんだよ」
扉のすぐ横にもたれかかっていたハルトに、シュウは元気がない声をだす。
朝と全く違う様子のシュウに眉間のしわを寄せるが、何も言わず歩きだした。のろのろとそれに続く。
「ハルトー腹減ったよー…飯食いに行こ!」
「いいがどこに行くつもりだ?」
「がっつり食いたい…腹へって死にそうだから」
「ラーメンでも行くか」
「うわーいやったー!」
「そのあと図書館で勉強な」
「………え?」
昼食がラーメンに決まり喜んでいたシュウの笑顔が固まった。綺麗なほどに硬直した幼馴染に、ハルトは当然だと言わんばかりの顔をした。
「お前は追試の勉強に追われているだけでなく、夏休みの課題にも追われているんだ。早めに終わらせておいて損はない」
お前のことを思ってのことだ。
ハルトは鞄をかけなおし、さっさと先を急いでしまう。
ぷるぷる震えるシュウが本調子ならここで逃走しているだろう。
だが勉強で使い切った脳みそでは逃げ切れる自信がない。
ハルトはそれを把握して誘ったのだ。
溢れてくる涙をこすり、シュウはとぼとぼハルトの後に続いた。
その後の図書館で何度も眠りかけたシュウに鉄拳が飛んだのは言うまでもない。
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