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辛いことは慣れれば楽になるわけがない
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補習に通い始めて1週間。夏休みの補習は合計2週間行われる。
最初の1週間と最後の1週間に分けられ、その半分が終わったところだ。
最後の二日間は強制補習の生徒には追試が課され、及第点に達せなかった者は夏休み前テストの返上はできない。つまり赤点だ。
補習に出るだけでも得点はプラスされるが、やはりメインのテストで挽回できなければ相当きつくなる。
補習が終わればハルトと図書館に直行し、学年1位を先生としてのスパルタ学習が待っている。
この勉強地獄から束の間解放されるシュウは、1週間ぶりに遅く起床した。
補習は通常の登校時間に合わせているのであまりゆっくり眠れなかったのだ。
今日ばかりは流石のハルトも勉強しようとは思うまい。
どこか確信めいた予想が胸を横切り、シュウは眼をこすった。
「今日はのんびりしようっと…ハルトのおかげで随分宿題も終わったし…」
ごろん。ベッドに再び寝転がり、眠りの世界へ旅立とうとしたシュウの鼓膜が強く由良ぶられた。
いつの間にか着信音をマックスにしていたらしい。そりゃ唐突に大きな音がしたら誰もビビる。布団にもぐったまま手探りで携帯を掴み、耳に当てる。
「もしもし…」
『おーシュウか!起きてる?』
元気のいいサガラの声音がきんきん響く。
「起きてるよ…何か用?」
『なんだよつれねーな。せっかく遊びに誘ってやってんのに』
「遊びに行くの!?行く!」
一揆に目が覚めたシュウは瞳をキラキラさせてそう返事した。
勉学詰めだったので、夏休みらしいことは全くしていない。久方ぶりのお誘いに、シュウのテンションは急上昇する。
「どこ行くの?プール?海?海水浴?」
『どんだけ泳ぎたいんだよお前…そりゃまたのお楽しみだ。今日はリョウのサッカーの試合があるらしいぜ。応援しに行こーぜ!』
「あれ?サッカー部って活動してたっけ」
確かヒナトの我儘が顧問の体に風穴をあけて休部していたようだが。
『その顧問が復帰してよー。リョウもなんやかんやで練習してたらしくて、それなら試合に出てみようぜってなったらしい』
「わかりづらい説明…とにかく行くからどこでやってるの?」
『第2グラウンド。10時開始だから遅れんなよー』
ぷちりと通話は途切れ、シュウはいそいそと準備をし始めた。
時計は9時30分をさした。
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