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genius is controlled
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「は?」
ヒナトが目を丸くして吃驚した。今、なんていったこのチビ。
「ハルトの教え方はプロなみなんだ!だから大丈夫!」
「いやいやいやいや。シュウ、お前今までの話聞いてた?」
サガラが正しいとするなら、ヒナトが一人で頑張るという流れだったはずだ。どうしたら勉強会を開くことになる。
「なあそうしようぜ!」
「いっいや俺は…」
「いやだ。絶対に嫌だ」
戸惑うヒナトと、嫌がっているハルトが同時に口を開いた。両方に共通しているのは乗り気ではないということだ。
「ただでさえ馬鹿がいるのに、その上さらに俺の負担を増やせと?冗談じゃない。たとえ楽だとしてもこいつにだけは教えたくない」
「俺だってんな上から目線野郎に教えてもらうなんてお断りだ!」
「えー…んじゃあヒナト本当に一人で勉強できるの?」
シュウの鋭い指摘に、ヒナトはぐっと言葉をのどに詰まらせる。実を言うと言っているだけで、何の対策も考えていない。
その点、この要求をのむと癪だが天才に勉強を教えてもらえるという多大なメリットが出来上がる。だが、無茶苦茶嫌だ。
葛藤するヒナトを置いて、シュウは渋い顔をしているハルトと向き直る。
「ハルト」
「そんな目で見ても俺は動かん。絶対に動かん」
断固拒否する幼馴染に、シュウはむっとしながらも視線を送り続けた。普段喋りまくるやつが急に黙ると妙に威圧感がある。
無言の圧力に最初は平気な面をして腕を組んでいたが、数秒重ねていくたびにハルトの余裕も崩れ始めた。
「いい加減にしろ」
ついに堪え切れなくなったハルトが駄々っこを諌めるようにシュウをにらむと、とどめの一言が。
「嫌いだって言っても正当な理由で頑張ろうとしてる人を馬鹿にするだけして、助けようともしないのかハルトは?そんな奴だと思わなかったよ…」
失望し切った表情のシュウに、ハルトの余裕が完全に消え去る。
「わかった!やればいいんだろやれば!」
このままでは嫌われてしまい、二度と口をきいてくれなくなるという被害妄想が脳内を横ぎり、気づけば肯定の意を叫んでしまっていた。
「ありがとうハルト!」
それを待っていたシュウは晴れ渡る笑顔になり、息を荒げて肩を落とすハルトに感謝の念を示す。
まだ唸っているヒナトを放って、シュウは無謀な賭けを成功させたのだった。
「シュウ…恐ろしい奴だぜ」
生唾を飲んだサガラが、震えた声でつぶやく。
「扱い方を、心得ている」
ユツキも少しだけ怯えた色を宿した瞳で、うなだれるハルトを見据えた。
グラウンドに、シュートが入ったことを叫ぶ汽笛が鳴り響いた。
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