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タイミングと告白シーン
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「ハルトどこ行ったんだろう…」
リョウに背中を押されて決心したシュウは、長い廊下をさまよっていた。
とにかくハルトと話がしたい。何があったかちゃんと聞いて、そのうえで自分が悪かったら必死で謝りたい。
また前みたいに、仲良くしたいんだ。
そんな純粋な願いを伝えればきっとハルトもわかってくれる。
シュウは希望に満ちたまなざしで幼馴染の姿を探す。
なぜか校内に彼がいるような気がするのだ。これは幼馴染特有の勘なのかもしれない。
三階と二階を繋ぐ階段をとんとん降りていると、下からかすかに話し声が聞こえた。
耳朶に慣れ親しんだ低めの無感動な声音。
ハルトだ、と笑顔を灯しながら手すりから身を乗り出して一段の下にある階段を見下ろした。
てっきりシュウはハルトが靴箱を目指して降っているのかと思った。
だが、廊下と廊下を繋ぐ少しだけ広い空間に、ハルトと見覚えのない少女が一緒にいた。
人と空間を共有するのが苦手なハルトが。自分の知らない生徒と向き合っていた。
その事実が何故かシュウの心に響き、ずきりとした痛みを覚えさせる。
そそくさとシュウは身を隠し、耳だけに意識を集中させた。
盗み聞きしているようで罪悪感が募るが、その場を離れるという最善の行動にうつるきにはなれなかった。
聞こえてしまうのかと怯えるほど、鼓動は早くうっていた。
しばらく緊張と戦っていると息を吸う音が聞こえた。
「あの…好きです。付き合ってくれませんか?」
静かな廊下に、そんな甘酸っぱい言葉が反響した。
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