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こわいひと。 7
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横長の座席の丁度向こう側に彼の姿が見える。
「......あ。」
思わず声を零してしまう自分がいた。
嬉しいような呆れているような、
複雑な気持ちのまま袖野は彼の横顔を観察した。
ミナミのどこにでもいそうな至って普通の顔、
ぼやっとした表情。
ときめく部分を探す方が難しい立ち姿から、
何故か目が離せなかった。
それは他に見るものがなかったから、他に知っているものがなかったからかもしれないけれど。
「.........。」
彼がどうして自分のことが好きなのかすら
全然わからないのに。
胸が締め付けられる。
指先が疼く。
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