アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
こわいひと。 11
-
ミナミはいつまで経っても泣き止まず離してくれないので、
仕方なく袖野は自分の家がある駅にミナミを連れて降りた。
連れてというより引きずってという方が近いかもしれない。
コアラのように腹回りに抱きついたまま離れないミナミに
周りの目が痛かったのでホームのベンチに座らせるが、結局服を掴んで離そうとはしなかった。
仕方なく袖野は一緒に座ってやり頭を撫でてやった。
「...ミナミくん?そんなに怖かったんか?」
こういう反応の方がもしかしたら普通なのかもしれないがいつも彼は飄々としていたし
寧ろ気付いてすらいなかったようだったのに。
普段がそうだから余計に心配になる。
ミナミは俯いたままで、泣いているようだった。
「なんか、いつも、平気なんすけど..今日は袖野さん何してるかなって考えてた時だったんで..いやだなって気分になって.....そしたら..」
涙で震えた声はつっかえつっかえ言葉を紡ぐものだから、袖野は黙っていた。
「そしたら..なんか....へん、になって..」
「....変?」
ミナミの謎の証言に袖野は眉根を寄せた。
恐る恐る顔を上げるミナミは涙で濡れたぐちゃぐちゃの顔を紅潮させ、どことなく目の焦点があっていないようだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 194