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海老で鯛を釣る
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もとい、ガトーショコラで悠斗を……………。
釣られた気分である。
「……………………美味し……………」
ガトーショコラを一口頬張り、悠斗は呟いた。
その辺のケーキ屋にも負けない、美味しさ。
大好物の満足度に、悠斗の頬はついつい緩む。
「そ…………………良かった」
嬉しそうに食べる悠斗を眺め、隼斗は珈琲片手に目を細めた。
マズい。
なんだか、隼斗の流れに身を任せてる気がする。
「悠斗……………それすんだら、海でも行かない?」
「……………………海?」
そりゃまた、意外な。
夏でも隼斗は、海へ行ったなんて聞いた事ない。
「何で………………?」
妙な所は、兄弟。
悠斗も、海は行かない。
いつだったか、家族で海へ行って、一度溺れかけた。
それ以来、海は嫌い。
あれ?
確かあの時、助けてくれたのは、隼斗だったような……………………。
悠斗はガトーショコラを大事に口へと運びながら、ふと昔の記憶を辿った。
「昔、悠斗と行った海………………見たくなった」
「え…………………っ!?俺の溺れかけた思い出しかない場所へ?……………………嫌がらせじゃん」
今、思い出してたばかり!
隼斗の答えに、悠斗の顔は露骨にムッとした。
「クス………………ごめん、でも見たくて…………………俺には大事な思い出だからさ」
「……………………大事?」
俺が溺れかけた以外、何かあったっけ?
それでも、なんだかそれ以上は反対出来なかった。
何かを思い出してるような隼斗の眼差しに、悠斗は何も言えなくなったから。
隼斗………………?
なんだろう。
何故か悠斗は、それが何なのか知りたいと思えた。
今日の隼斗は、嫌いじゃない。
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