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弟の領分
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とりあえず、謝ります。
「す…………………すみません……………」
悠斗は慶太から手を離し、頭を下げた。
なにやってんだ、俺。
何で、ムカついてるんだよ。
「あ…………いや……………俺こそ、隼斗の迷惑も考えないで…………………」
まさか、悠斗が自分に向かってくるとは思わなかった慶太は、さすがにびっくりしていた。
見た目ほど、喧嘩とかは慣れてないのかもしれない。
強気な悠斗にタジタジ、と言う感じだった。
悠斗のコンプレックスは、ちょっと男子にしては可愛らしい顔。
幼い時から、周りの男子にからかわれるのが嫌で、悠斗は負けん気が強い。
つまり、たまにこうして、やらかす。
「ごめんな、悠斗。俺がちゃんと慶太と話出来てなくて、お前に迷惑かけたな」
隼斗は悠斗の頭を撫で、申し訳なさそうに見つめた。
どう見ても、隼斗が悪い訳ではない。
それでも謝ってくる隼斗に、悠斗はばつが悪そうに目を伏せた。
「…………………慶太、また連絡するから、その時に話そう………………………」
そう言って、隼斗は悠斗より少し離れた所で、慶太と話をし出した。
自分より、離れた所。
隼斗の世界。
そんな気がした。
二人は手を上げ、話をつけたように、別れた。
「……………………悠斗………………」
慶太と別れた隼斗は、笑顔で悠斗に歩み寄る。
「ご、ごめん…………………」
悠斗は、真っ先にそれを口にした。
慶太は、隼斗の友人。
どんな理由であれ、人の友人にあんな真似は良くない………………………悠斗なりに、反省してます。
「悠斗……………………」
頭を下げる悠斗を包む、隼斗の腕。
「隼……………………」
戸惑う悠斗を尻目に、隼斗は腕の力を強めてく。
「ありがとう……………………凄く、嬉しかった」
凄く。
「悠斗が……………………俺の為に感情的になるなんて、初めてだから………………………」
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