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邪魔者
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「……………………悠斗…………」
隼斗は、開いたドアから、悠斗の消えた薄暗い廊下を見つめた。
「悠斗………………………」
背、伸びてたな………………。
顔も、中学を卒業したばかりの幼さが残っていた2年前に比べ、随分と大人っぽくなっていた。
柔らかい髪に、軽くパーマをかけ、可愛かった瞳に色気が加わった、イケメンな男子高生に変わった、悠斗。
手にした本を握りしめ、隼斗は本棚へ額を当てる。
「はぁ…………………ヤバい……………会うと、好きが爆発しそう…………………」
好き。
隼斗の心は、2年間何も変わらなかった。
会わないようにすればするだけ、想いは募る。
連絡も簡潔にし、なるべく悠斗の邪魔にならないよう心がけた。
でもそれが、余計に隼斗にとって、悠斗への気持ちの大きさを知らしめる結果となっていた。
「駄目だ…………………もう、止めなきゃ…………」
隼斗は悠斗を思い浮かべ、マットだけになったベッドへ目を向けた。
忘れられない、日常。
何度ここで、嫌がる悠斗を抱いただろう。
嫌がる悠斗を………………………。
「最低な兄貴は、弟の邪魔をしてはいけない」
隼斗の視界が、瞬く間に揺れていく。
苦しい。
愛してはいけない人を、愛した報い。
この2年、隼斗はバイトを変え、セフレ達も切り、どんな告白も受け入れずに、大学と新しいバイトだけを淡々とこなしてきた。
ただ、悠斗が幸せになる事だけを、願い。
「…………………………悠斗、愛してる………………」
デスクの椅子へ腰を下ろし、熱くなった目頭を誤魔化すように、隼斗は天井を見上げた。
一人になった部屋で、誰にも聞かれないからこその、愛の言葉。
それを、本人の前で口にするつもりはない。
これまで悠斗にやってきた事を思うと、してはいけないと思ってる。
「……………………愛してるよ………………」
頬を伝う涙が、隼斗の心に蓋をする。
二度と、恋はしない。
悠斗以外を好きになれないと、思い知ったから。
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