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恋敵
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「じゃ………………悠斗……………」
夕日が街を茜色に染める頃、隼斗は玄関のドアを開けた。
昨日の雨で濡れていた庭は、今日一日の夏の日差しで、すっかり水滴は消えていた。
夏の西日は、暑い。
でも隼斗の姿は、この暑い西日もを爽やかにさせた。
「また、連絡入れるよ」
「ん……………………」
連絡って、ホントは隼斗が帰って来たら、話は早いのに。
悠斗は開いた玄関にもたれ、隼斗を見つめた。
そう言えば、隼斗のアパートが何処なのかも、よく知らない。
2年間、必要以上には連絡取らなかったから。
これからちょっとずつ、知らない事を埋めていこう。
焦る事はない。
今が一番、近くに隼斗を感じてるのだから……………悠斗は、そう自分へ言い聞かせる。
「今日は、ありがとう。学校まで休んでくれて」
隼斗は、持ってきたトートバッグを肩にかけ直し、悠斗の手をやんわりと握りしめた。
「…………………………隼斗」
やだな。
それだけで、キュンとする。
止めてよ……………………顔が、赤くなるじゃん。
「明後日、楽しみにしてる」
「………………え………………」
顔を上げる悠斗に、隼斗が目を細める。
「メニュー、何がいいかな…………………悠斗の好きなハンバーグ、どお?」
「それいいっ!」
隼斗のハンバーグ、大好き。
思わず声が、大になる。
「なら、決まりね。材料は、俺が用意するから…………悠斗は、身体だけ」
身体…………………。
「な………………なんか、エロい」
「クス……………………それ狙った」
「もう……………………」
赤い顔が、益々赤く染まる。
「………………………悠斗、待っててね」
そして、隼斗はほっぺにチューをした。
おでこから、ほっぺ。
少しずつ下がっていくキスは、いつ唇を奪ってくれるの?
また、キスして欲しい。
悠斗は、軽く唇を噛みしめる。
「待ってる……………………隼斗」
名残惜しそうに手を離し、隼斗は俺に背を向けた。
「……………………予想外に、長居しちゃったな」
隼斗はスマホの時刻を確認し、見慣れた住宅街を歩く。
でも、楽しい長居だった。
悠斗が、自分を必要としてくれる…………………2年間前までは、考えられなかった。
「嬉しい………………………」
自然と笑みが溢れる。
明後日が、待ち遠しい。
これまで、アパートへ帰るのも重かった足取りが、気持ち軽くなっている。
悠斗に会えるってだけで、心が弾む。
「…………………隼斗さん………………」
そんな隼斗を呼び止める、聞き覚えのある声。
「………………………?」
振り返った隼斗は、その先にいた人物にドキッとした。
ドキ………………。
邪な気持ちが、胸をそう反応させた。
「…………………涼………………」
悠斗の幼馴染みで、悠斗の彼氏。
いつからいたのか、涼が隼斗の後ろに立ち、こちらを見ていた。
久し振り。
でも、涼の表情は、それとはかけ離れたものだった。
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